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CHUWI MiniBook m3-8100Y版を一足先に貸し出していただいたので、レビューします。
MiniBookを買うならm3-8100Y版一択
CHUWI MiniBookにはIntel m3-8100Y / Celeron N4100バージョンの2種類があり、まず最初にN4100版が試作機として製造されていました。
クラウドファンディングにて一定額を突破したらアンロックされる「ストレッチゴール」やSNSキャンペーンで指紋認証センサーや筆圧検知、USB PD 45W充電器が後から追加されていった影響で、先行して開発されていたN4100版には非搭載でm3-8100Y版にのみ新機能が搭載される、という少し不公平な状況になっています。
今から買おうと思っている人は、多少高くてもm3-8100Y版を買うべきです。
CHUWI MiniBook | |
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OS | Windows 10 Home |
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 128GB eMMC (m3-8100YではM.2 2242 NVMe SSD、N4100ではM.2 2242 SATA SSD増設可能) |
プロセッサ | Intel m3-8100Y / Celeron N4100 |
ディスプレイ | 8インチ FHD 16:10 1920 x 1200 10点マルチタッチ ※m3-8100Y版のみ1024段階筆圧検知・スタイラスペン対応 |
バッテリー | 3,500mAh (USB PD対応) |
サイズ | 201 x 128.6 x 19.3mm |
重さ | 約659g (実測) |
フロントカメラ | 2MP |
端子 | USB Type-C (DisplayPort Alt Mode映像出力対応) x1 USB Type-A (USB 3.1 Gen1) x1 USB Type-A (USB 2.0) x1 mini HDMIポート x1 microSDカードスロット x1 3.5mmイヤホンジャック x1 |
今回貸し出していただいたのは製品版と同等品のため、USB PD 45W充電器とUSB Type-C to Type-Cケーブル、日本語の説明書が付いてきます。
なお、説明書の「ろ」キー説明は間違っています。機械翻訳ですし見ないで良いと思います。
本体のポートについては外見はN4100版と変わりありません。基本的な部分はN4100版のレビューをご覧ください。
USB Type-Cポートは大きく変更されており、12V/2A以上しか受け付けなかったのが12V・15V・20Vを受け付けるように改善されました。5V以上の充電器で充電できる、と誤情報を書いているサイトもありますが、12V以上でなければ使えません。
日本語キーボードでは右ShiftキーがPrt Scを兼ねた「ろ」キーに変更されています。ローマ字入力の際は単押しで「¥」が入力され、かな入力では「ろ」が入力されます。表記はありませんが、Shiftキーを押しながら「ろ」キーを押すとアンダースコアが入力されます。
英語キーボードに比べると印字が大きめになっており、EnterやShiftキーの記号がなくなっています。
英語キーボードのPCから別のPCにつないだら日本語キーボードレイアウトになってしまって記号が打ちにくい…というリモートデスクトップ接続あるあるを経験した人も多いと思いますが、日本語キーボードモデルなら気にすることなく同じキーボードレイアウトで入力できます。
リモート接続先の設定をいちいち変えていられないですし、「別にかな入力なんて使わないし…」という人でもRDPをよく使う場合には日本語キーボードのほうが便利です。
解像度1920 x 1200なのでリモート接続先の画面も見やすいですし、mini HDMIやUSB Type-Cポート経由でモニターに映すこともできます。
指紋認証センサー兼電源ボタンは周囲が赤くなっています。スマホなどでも広く採用されている、FocalTech製センサーが使われています。
指紋認証速度は高速で、指をおいたらすぐ認証されます。ユーザー名とパスワードを入力することなくWindows Helloですぐログインできるので、ロックすることが多い持ち運び時に特に効果を発揮します。
N4100の試作機 (写真上) ではフタがぴったり閉まらず若干隙間が空いていたのですが、m3-8100Y版 (写真下) ではぴったり閉まります。
裏面もN4100版と同じものが使われているため、技適マークの近くに番号が書かれていない、無効な形式のままになっています。
CWI526は番号208-160180として認証は受けているのですが、肝心の表記が修正されないままというのは残念です。
なお、バッテリーも変化がなくPSEマークが付いていないままでした。
試作機と違いUSBポートの上などにクッションが追加されています。
メモリは16GBで、これだけあれば普段使いでメモリ不足に悩まされることはまずありません。さすがにUMPCでブラウザのタブ大量放置はしないでしょうし…。
メモリはあればあるだけ良いもので、MiniBookの場合ストレージと違って後から増やせないので、16GBメモリのバージョンを買っておいた方が良いと思います。
N4100・8GB RAM版の試作機では7.83GBと認識されていましたが、m3-8100Y・16GB RAM版では16GBと正しい数値で表示されています。
NVMe SSDで高速起動
M.2 2242スロットにはSATA SSDのほか、高速なNVMe SSDが入れられます。
2週間おきに半額セールしているLexar NM520 256GBを入れてみましたが、ちゃんと認識されました。
AliExpressではKingSpecの256GBが$51.17、1TBでも$94.33で販売されているので、ブランドを気にしない方にはKingSpecでも十分だと思います。
内蔵eMMCはN4100版と同じGeneric SLD128です。
Lexar NM520 256GBのベンチマーク結果は以下のようになりました。内蔵eMMCやSATA SSDよりは速いです。
「起動まで5秒」とCHUWIが主張するだけあって、NVMe SSD側にOSをインストールすると本当に一瞬でログイン画面が開かれます。デュアルブート状態だとOSを選ぶ画面で時間を取られてしまうので、ドライバー等をバックアップしたらeMMC側はデータ保存ドライブ用にフォーマットしてしまっても良いと思います。
NVMe SSDを利用中は、S.M.A.R.T.情報によると53℃ほどに温度が上昇していました。
冷却ファンは改善なし
N4100版の時点で冷却ファンは常時オンで結構な音がしており、CHUWIへ改善要望を送ってMark Yue氏より「製品版までにできるだけ静かにする、オンオフ機能も検討する」と返答をいただいていましたが、実際には何も変わりありませんでした。
N4100は性能が低いおかげで発熱も少なかったのですが、m3-8100Yではそれなりに発熱するため、特に充電しながら使う場合はすぐ最大速度になってしまいます。
Turbo Boostを無効にすることで発熱を大幅に抑えられるので、軽いオフィス作業をするときは無効化、動画再生やゲームをするときは有効化、という風に切り替えできるよう電源オプションを作っておくと良さそうです。
コマンドプロンプトでcmd /c reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\54533251-82be-4824-96c1-47b60b740d00\be337238-0d82-4146-a960-4f3749d470c7" /v Attributes /t REG_DWORD /d 2 /f
を実行でTurbo Boostを無効化できる「プロセッサ パフォーマンスの向上モード」、cmd /c reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\54533251-82be-4824-96c1-47b60b740d00\bc5038f7-23e0-4960-96da-33abaf5935ec" /v Attributes /t REG_DWORD /d 2 /f
を実行で最大クロックの制限ができる「最大のプロセッサの状態」が電源オプションの詳細設定に出てきます。
Turbo Boost 有効時のドラゴンクエストXベンチマークでは、グラフィック設定 標準品質、解像度1920×1080で「やや重い 2361」という結果でした。
Grand Theft Auto Vをプレイしてみたところ、動作環境外ですが起動できました。解像度1920×1200の場合15~29fps程度での動作になるので、快適とはいえませんが一応遊べます。
バッテリー持ちは約3.5時間
バッテリーベンチマークソフトBBench (キーストロークあり、60秒ごとのウェブ巡回) にて、高パフォーマンス・明るさ50%・キーボードバックライト点灯・Turbo Boost ONの状態で残量100%→5%までの電池もちを計測すると、約3.5時間という結果になりました。N4100版では同条件で約4.3時間だったため、やはりスペックアップした分消費が大きくなるようです。
バッテリー持ちは使用状況によって変わりますし、発熱の原因となるTurbo Boostを切っておけばもう少しバッテリー持ちが改善されると思います。
Turbo Boostオフ、キーボードバックライトオフ、より良いバッテリーモードで、Amazonプライムビデオにて映画再生した結果は約4.2時間でした。
外出先でも長く使いたい、という人にはモバイルバッテリーが必須ですが、製品によっては相性問題が発生するので注意が必要です。
例えばOmars USB PD 45W 20000mAhバッテリーは20V/2.25A対応なのにMiniBookへ充電できず、4千円台の激安USB PD 45WバッテリーXiaomi Mi Power Bank 3 Pro 20000mAhやUSB PD 100W + 60WのモバイルバッテリーZendure SuperTankだとちゃんと急速充電できました。
タッチパネルはメーカー変更で精度改善
Indiegogoでのストレッチゴール達成に伴い、m3-8100Y版では1024段階の筆圧検知に対応することになりました。Makuakeの説明ではN4100版も対応しているかのような表記になっていますが、実際は違います。
筆圧検知対応にアップグレードされた結果、タッチパネルがN4100版よりも上位のものに変わり、タッチ感度も改善されました。
N4100版は「KMDF HID Minidriver for Touch I2C Device」(Silead社)を使うパネルでしたが、m3-8100Y版では「GoodixTouchDriver Device」が使用されています。Silead社のパネルは激安タブレットでよく使われているのに対し、Goodix社のパネルはSurface BookやXiaomiのハイエンドスマホ等でも利用されているものなので、やはり同じタッチパネルでも体感できるレベルで品質に違いがあるようです。ドライバーはここからダウンロードできます。
N4100版では特に角の方をタッチするとき何回か押さないと反応しないことがあり、リソース不足でもたついているだけかと思っていたのですが、m3-8100Y版では負荷が掛かっているときでも一発で押せるようになっていました。
10万円越えのパームトップPCが多い中、CHUWI MiniBookは適度にスペックを絞ることで5~6万円台で購入できるようになっているため、これまで高くて手が出せなかった、お手頃価格のものだとスペックが低すぎて普段使いできなかった、という人におすすめです。
N4100版はBanggoodでも販売されています。
AliExpressのCHUWIオフィシャルストアにて、m3-8100Y版が販売されています。Amazonでも販売開始されています。