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ONE-NETBOOK社の最新UMPC、OneMix 3 Proを購入しました。せっかくなのでCHUWI MiniBookとの比較を交えながらレビューします。
目次
待望の日本語キーボードに第10世代CPU
一時は絶滅しかけていたUMPC業界ですが、近年は中国メーカーを中心に賑わっており、CHUWIが日本語キーボードを搭載したMiniBookを発売するなど日本をターゲットにした製品が出始めています。
ONE-NETBOOKもついにOneMix 3 Proで日本語キーボードを搭載し、さらにUMPCでは初となる第十世代 Core i5-10210Yまで搭載して対抗してきました。
ONE-NETBOOK One-Mix 3Pro | |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 512GB PCIe SSD |
プロセッサ | Intel Core i5-10210Y |
ディスプレイ | 8.4インチ 2K 2560 x 1600 4096段階筆圧検知・スタイラスペン対応 |
バッテリー | 8,600mAh (USB PD 5V/9V/12V対応) |
サイズ | 204 x 129 x 14.9mm |
重さ | 公称650g・実測689.4g |
フロントカメラ | なし |
端子 | USB Type-C (DisplayPort Alt Mode映像出力対応) x1 USB Type-A (USB 3.1 Gen1) x1 micro HDMIポート x1 microSDカードスロット x1 3.5mmイヤホンジャック x1 |
(OneMix 3Proの公式ドライバーはここからダウンロードできます。元からZIPが壊れていて一部展開できませんが、必要なのはFocaltechFingerprintとBoschAccelerometerぐらいです)
10万円クラスなだけあって、外箱は高級感ある見た目をしています。裏面にシリアルや製造時期が書かれており、私のOneMix 3Proは2019/11/25製造でした。
GeekBuyingにて購入したものなので、説明書に日本語は入っていませんでした。特段変わった仕組みがあるわけでもないですし、問題ないと思います。
付属のUSB PD 30W充電器は折りたたみ式のUSプラグで、PSEマークも付いているため日本でも問題なく使えます。
黒で格好良いが指紋が付きやすい
OneMix 3Proは今のところブラックのみが販売されています。天板にはONEMIXロゴが書かれています。
メタリックな印象を受けるCHUWI MiniBookと違い落ち着いた印象で高級感があります。ただ、指紋が目立ちやすいため定期的に拭かないと見た目が汚くなってしまいます。
どうしても気になる場合は、PDA工房から発売されているスキンシールを貼っておけば指紋汚れも傷も防止できます。カーボン調のものを貼ってみましたが、指紋が付かなくなるだけでなく見た目が結構変わるので面白いです。
蓋はマグネットでくっつくようになっており、ぴったり隙間なく閉まります。裏返しにしても外れません。
背面にはゴム足が付いており放熱しやすくなっています。
技適マークもあり、R 003-150009とちゃんと書かれています。
裏蓋はネジを外すだけで簡単に外せます。中も黒く統一されており、ヒートシンクは放熱性を高めるためかバッテリー上部まで伸ばされていますが、断熱材が間にあるためバッテリー側よりも裏蓋に逃げる熱の方が多いと思います。
公称は重さ650gとなっていますが、実測値では689.4gでした。
公称値より重いですがそれでも1kg台のノートPCに比べれば軽いですし、サイズもiPad程度なのでかさばりません。
これまで私が使っていたノートPCは1.1kg程度で、展示会やセミナーなどで持ち歩いているとかなり疲れましたが、OneMix 3Proだと負担が軽減されました。
割とまともな日本語キーボード
UMPCはサイズの都合上普通のキーボード配置とは異なるレイアウトになってしまいますが、OneMix 3Proの日本語キーボードは他社UMPCの日本語キーボードと比べると割とまともなレイアウトです。
「今時かな入力なんて必要なの?」と思われる方もいるかもしれませんが、リモートデスクトップで他のPCを操作することが多い場合、接続先が日本語キーボードだと接続元も日本語キーボード設定になってしまうため、英語キーボードだと記号の入力がかなり面倒なことになります。元から日本語キーボードならリモートデスクトップ接続しても混乱することなく打てるので便利、というわけです。
Altキーを押さないといけない日本語シール版のGPD P2 Maxとは違って、半角/全角キーは普通に押すだけで日本語入力に切り替えられますし、押し間違えるとイラッとするCaps Lockキーは左上に追いやられ、代わりにTabキーがAキーの左に置かれています。「-」がF6キーのあたりにあるので若干手が届きにくいですが、それ以外は個人的には許容範囲内です。
Shiftキーが左右にあるのでAutoHotKey・shift-ime-ahkを使えば、無変換・変換キーで日本語入力を切り替えるのと同じようなことが出来ます。
キーボードはバックライト付きであまり光漏れしておらず、Fn + スペースキーでオフにできます。
512GB SSDは100GB分がDドライブとしてパーティション分割されており、Dドライブ直下にショートカットキー一覧の画像が入っています。解像度2560×1600なので壁紙にもバッチリです (設定する人いるのでしょうか…)。
CHUWI MiniBookでは冷却ファンがうるさく、抑えることも出来ないという状態でしたが、OneMix 3ProではFn + @キーを押すことでファンの回転速度を低速に出来ます。
OneMix 3Proの冷却ファンは低負荷時はオフになり、高負荷な時でもそれほどうるさくはありません。もちろん静かな場所では気になりますが、使うのをためらうほどの轟音だったCHUWI MiniBook m3-8100Y版と比べるとかなりマシです。
キーボードの下部には左右クリックボタンとポインターマウスがあります。ポインターマウスもタップで左クリックしたことになります。
電源ボタンの右側には指紋認証センサーがあります。CHUWI MiniBookのように電源ボタンと一体化させていればキー1つ分のスペースが空くので、ぜひ次のモデルでは一体型にしてもらいたいところです。
指紋認証センサーはFocalTech製です。OneMix 3Proのドライバーはここからダウンロードできます。
USB PD 5/9/12Vに対応
OneMix 3Proの右側面にはUSB Type-Cポート、USB Type-Aポート、micro SDカードスロットがあります。
USB Type-CポートはUSB PD充電に対応しており、5V / 9V / 12Vと三種類に対応しているため、CHUWI MiniBook N4100版やGPD Pocketのような12Vにしか対応していないUMPCと比べると使える充電器の幅がかなり広くなっています。
電源オフ時は12V対応充電器でないと充電が始まらないようですが、電源オン時に5V/9Vでのアシスト充電ができるのは良いですね。
左側面にはmicro HDMIポートと3.5mmイヤホンジャックのみです。
USB Type-Cポートでも映像出力できますが、ハブを持っていなかったり他の機器用でmicro HDMIケーブルを持っていたりする人には便利そうです。
変幻自在のヨガスタイル
OneMix 3Proは360°回転させられるヨガスタイルなので、使う場面によって自由自在にスタイルを切り替えられます。
途中まで曲げるとテントモードにできます。新幹線の机の上など、狭い場所で動画再生する際などは接地面が少ないこちらのほうが安定しやすいですし、キーボードが隠れる分映像に集中できて良い感じです。
テントモードの状態ではキーボードが無効化されないようなので、触らないよう注意が必要です。
完全に折りたためば、タブレットのように使えます。縦向きにしてメモ帳のような使い方をすることもできます。
この状態ではキーボードが無効化されるため、持ったときに触れてしまっても問題ありません。ただし、電源ボタンだけは生きたままなので、電源オプションで電源ボタンを押したときのアクションを「何もしない」にしておいたほうが良いでしょう。
ディスプレイは4096段階の筆圧検知に対応しており、Surfaceペンにも対応しているため、国内でも簡単に替え芯を調達できます。
ディスプレイは2560 x 1600と高解像度なのですが、残念ながらリフレッシュレートは55Hzで、一般的な60Hzより低くなっています。今や1万円以下の激安スマホですら60Hzで動作する時代ですし、10万円クラスのOneMix 3Proが55Hz駆動というのは大変残念です。
一般的なパネルでは60Hzがデフォルトの製品でも75Hz程度までオーバークロック可能なことが多いのですが、インテル グラフィックス・コマンド・センターのカスタム解像度でも60Hzにはできず、Custom Resolution Utility (CRU) で無理矢理60Hzを追加しても画面が真っ黒になってしまい動作しませんでした。
ビットの深度も6ビットとなっています。PWM frequencyは200Hzですが、PWMHelperで上げられます。
見た目は一般的なモニターと変わらず視野角も十分良いのですが、敏感な目を持つ人はちらつきや目の疲れを感じやすくなってしまうため、次のモデルでは改善されていることを祈ります。(ONE-NETBOOK社の営業担当に伝えておきます)
ちなみに初期状態ではWindows 10のデジタルライセンス認証がされていないようで、設定→更新とセキュリティ→ライセンス認証→トラブルシューティングで認証しないといけません。
また、デフォルトが中国向けになっているため
- 設定→時刻と言語→タイムゾーンでUTC +9に変更
- 設定→時刻と言語→言語→日本語のオプション→キーボードレイアウトを日本語に変更
- コントロールパネル→日付、時刻、数値形式の変更→管理→システムロケールの変更→日本語
と変更しないといけません。このあたりはどうにかして変えてもらいたいものです。
UMPC界最高峰の性能
OneMix 3ProはIntel Core i5-10210Yに16GB RAMを搭載しており、UMPC業界では最高レベルの性能を誇ります。
まずオフィス操作などをシミュレートするタイプのベンチマーク、PCMark 10での結果はスコア3072でした。私が愛用していた、Core i5-6200U + NVIDIA GeForce 940MX搭載の13.3インチノートPC Mi Notebook Airだとスコア2063なので、小型ながらもかなりの性能を持っていることが分かります。
スコア2063でもVSCodeでのコーディングやChromeでのブラウジングなどは出来ていましたが、潤沢なメモリとCPU性能が上がったおかげでさらに快適に作業できるようになりました。
ある商業サイトでは「スコア3000では用途が限られる」という書き方をされていましたが、動画エンコードや3Dゲームをしたり、仮想マシンをいくつも動かしたりといった高いスペックを要求されることをノートPCでやろうとすること自体が間違えていますし、一般的な用途の範囲では問題ないでしょう。
バッテリーベンチマークソフトBBench (キーストロークあり、60秒ごとのIEでのウェブ巡回) にて、高パフォーマンス・明るさ50%・キーボードバックライト点灯の状態で残量100%→5%までの電池もちを計測すると、約6時間持つという結果になりました。高いパフォーマンスでありながらも、スペックの低い他社製品 (m3-8100Y搭載MiniBookで3.5時間) と同じぐらいのバッテリー持ちです。
ドラゴンクエストXベンチマークでは、グラフィック設定 標準品質、解像度1920×1080で「やや重い 2648」という結果でした。
CINEBENCH Release 20の結果は661ptsでした。テスト前が32℃程度でテスト後は41℃、最大64~72℃まで上昇しています。放熱性能などを高めた、とされていますが、やはり高性能なCPUの温度上昇を抑え込むにはまだ一歩足りていないようです。
CPU温度が70℃になっても底面はほんのり暖かい程度でしたが、長時間負荷をかけ続ける使い方をする際は直接膝の上に置いて使うようなスタイルにはせず、鞄の上に置くなどしたほうが良いと思います。
内蔵ストレージは中国FORESEE製 PCIe SSDで、CrystalDiskMark 7.0.0での計測結果によると読み込み速度がシーケンシャルアクセス1M Q8T1で1452.85MB/s、書き込み速度は825.40MB/s、ランダムアクセス4K Q1T1でも120.56MB/sに達するなどかなり高速です。
Windowsの起動も数秒で完了するので、使いたい時にすぐ使い始められて便利です。
高性能を持ち歩きたい人に
OneMix 3Proは一般的なオフィス作業やコーディング、ウェブサイト閲覧など普段使いを軽くこなせる性能でありながら、ちょうど良いサイズの8.4インチディスプレイと日本語キーボードを搭載しているため、外出中の軽作業からオフィス内での業務、移動中の暇つぶしまで、さまざまなことを一台でこなせます。
タブレットではコンテンツの消費に特化していてクリエイティブな使い方がしにくい、かといってノートパソコンは重くてかさばる、と悩んでいる方にOneMix 3Proはおすすめです。
日本版はAmazonや楽天などで購入できますが、日本語キーボードのみとなっています。
GeekBuyingでは$959.99 (108,156円)で購入できます。GeekBuyingでは英語キーボード・日本語キーボードを選択できるので、英語キーボードのほうが良い、少しでも安く買いたいという方はGeekBuyingで買いましょう。GeekBuyingの無料配送 (JP Priority Line) では7日で届きました。