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約1万円という格安なカラーハンディプリンター、PrinCubeの使い方や注意点などを解説します。
何でも印刷してくれるハンディプリンター
PrinCubeはコンパクトサイズなのに木、金属、プラ、肌、紙、ダンボールなどどこにでもカラー印刷できるという触れ込みのハンディプリンターです。
これまでハンディプリンターといえばリコーの4万円もするモノクロプリンターぐらいしかありませんでしたが、PrinCubeは1万円台というお手頃価格でスペックも上、交換インクも安めに押さえられているという素晴らしい製品になっています。
ただし、実際に試したところプラや金属、肌といったものへの印刷には不向きだったため、紙や段ボール、網目が細かくて平らに近い布などへ印刷したい人向けです。
PrinCube | |
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重さ | 実測110g・インク込みで154g |
サイズ | 72 x 68 x 51mm |
一行の印刷範囲 | 高さ14.3mm・長さ1.3mまで |
接続方法 | Wi-Fi / USB |
対応OS | Windows / macOS / Linux / Android / iOS (ウェブアプリ) |
ポート | USB Type-C |
バッテリー | 900mAh (連続稼働 6時間) |
「PrinCube」はまだ届いていませんが、何故か手元にあったそれらしきものを使って説明します。
PrinCubeには標準インク、掃除用ブラシ、複数行印刷用の定規、タトゥー印刷用のホルダー、USB Type-Cケーブル、説明書が付属しています。
説明書は英語のみですが、日本語に翻訳しておきました。ここで日本語の説明書を見られます。
上部のボタンを押すと緑色に光り印刷モードになります。1秒ほど長押しするとクリーニングが始まります。
底部のカバーはマグネットになっており、簡単に着脱できます。インクカートリッジのクリーニング用ブラシもここに収まっています。
インクカートリッジはオリジナルのインクだけでなく、HP 62XL カラーも使えます。国内で簡単に手に入るので良いですね。一つのインクでA4用紙450枚を印刷できるそうです。
インクは開封してから6ヶ月以内に使い切った方が良い、長期間使わない場合はインクを外して保護ケースに入れた方が良い、とされています。
充電や印刷時の有線接続はUSB Type-Cケーブルで行います。
900mAhバッテリーを搭載しており、約6時間使用できます。リコーのハンディプリンターはたったの2時間でmicroUSB搭載ですし、PrinCubeのほうが充電の面でもかなり使い勝手が良いです。
側面には印刷できる幅を示すラインがあります。インクヘッドも合わせないといけないので、慣れるまで結構大変です。
上部カバーを外すと基板が見えます。少なくとも2020/01/16までに製造された初期ロットでは、設計ミスのためWi-Fiが途切れる、アクセスポイントが見つからない、ブラウザで開けないなど不安定な動作をしてしまいます。こちらに書いてある作業をすれば修正できる…のですが、はんだ付けを伴う作業なので大変です。
現在のロットでは修正済みとのことです。
その他の内部写真はFCC認証のページで見られます。
インクカートリッジの入れ方
インクカートリッジを入れるには、まずカートリッジの保護フィルムと保護ケースを外します。
次にPrinCube底部のカバーを外し、スイッチを「OPEN」にしてから透明なカバーを外します。
カートリッジを入れた後カバーを閉じてスイッチを「LOCK」にすれば完了です。
装着したあと色の出方がおかしい場合は、一度インクを取り外してもう一度入れてみるのを繰り返してください。接触不良なのか一部の色が出ないことがあるようです。
底部カバーにはインクを覆うゴムがありますが、全然役に立たずすぐ乾いてしまいます。ラップを挟むと乾燥しにくくなりました。
接続方法
初期ロットの場合、Wi-Fi接続は使えないものと思った方が良いです。USBケーブル接続では問題なく使えます。
USB接続の場合
PCとUSB接続するときは、Windowsの場合は別途ドライバーをインストールしないといけません。MacやLinuxでは不要です。
Windows 10向けのRNDISドライバーは下記ページでダウンロードできます。mod-duo-rndis.zipのリンクを押してDownloadボタンを押せばダウンロードできます。
mod-duo-rndis.zipを展開してPrinCubeをUSB接続した後、スタートボタンを右クリックしてデバイス マネージャーを開きます。「ポート (COM と LPT)」のところに「USB シリアル デバイス」が表示されるので、右クリックして「ドライバーの更新」を押し、「コンピューターを参照してドライバーソフトウェアを検索」を押してmod-duo-rndis.zipを展開したフォルダを選んでください。
ChromeやFirefoxなどブラウザーを開いて、192.168.88.1
か [fd88::1]
を開くとPrinCubeのウェブアプリが開きます。(こんな感じのアプリです)
Wi-Fi接続の場合
Wi-Fiで接続する場合は、SSID「PrinCube-XXXX(英数字)」を探して接続してください。デフォルトのパスワードは12345678です
。Windowsの場合勝手にPIN入力にされてしまうので、「ネットワークセキュリティキーを使用」を押してから入力してください。
PrinCube本体の底部カバーにあるQRコードを読み取るか、ブラウザーアプリで 192.168.44.1
または [fd44::1]
を開くとウェブアプリが開きます。
ただし、初期ロットでは前述の通りハードの設計ミスにより、接続が途切れたりパスワードが違うと表示されたり、と動作が不安定なことがあります。半田付けして自分で直すか交換してもらうしかないので、初期ロットをそのまま使う場合はUSB接続しないといけないことになります。
ファームウェア更新
アプリを開けたら、まずはファームウェア更新をしておきましょう。私が翻訳した日本語表示が追加されたり、Safariでユーザーフォントが使えない問題やWi-Fiの動作などが修正されています。
まずこのページからファームウェアをダウンロードしてください。PrinCubeの場合はMBrushではなく、PrinCube-fw-xxx.tar をダウンロードします。
アプリ左上にあるメニューボタン を押して、設定を開きます。設定の一番下に「Firmware Update (ファームウェア更新)」があるので、「ファイルを選択」でダウンロードしたファームウェアを選び、「Write Dev (書き込み)」ボタンを押せば更新できます。
※アプリを使わずUSBClonerというソフトを使って更新することも出来ます。
印刷の流れ
印刷するには、まずはアプリ右上の方にある「新規」を押します。
PrinCubeの印刷データは「プロジェクト」として保存やエクスポートできるようになっており、他の人が作ったファイルも開けるようになっています。例えばこんな風にして共有すれば、PrinCubeを持っている人に渡して秘密のメッセージを送れる…かもしれません。印刷する前に編集画面で丸わかりですが…。
編集画面が開くので、文字や画像を追加していきます。「ユーザーフォント」を押せば好きなTTF・OTFファイルを追加して印刷できます。毛筆体のフォントなどもこれで使えるように出来ます。縦書きには対応していません。
画像ファイルはJPG・PNG・SVGなどに対応していますが、PSDやAIといったPhotoshop・Illustratorファイルには対応していません。
画像の重なりを変えたり、グループ化したりすることもできます。
文字を追加する画面では、フォントやサイズ、スタイルや配置などを変えられます。「保存」を押すと保存されます。カラープリンターの特性上、白色を印刷することは出来ません。
編集が終わったら「印刷プレビュー」を押してください。
PrinCubeが印刷できる一行の高さは14.3mmまでなので、それ以上の高さがあるものは分割するか収まるよう調整しないといけません。
「クロップ」という白い印刷範囲がプレビューに出てくるので、それに収まるようにしておきましょう。
複製ボタンを押すと右方向や下方向に同じサイズのクロップを増やせます。#1、#2…という順に印刷されます。
「印刷」を押せばデータがPrinCubeへ送られます。
本体上部のボタンを押し、緑色に光ったらスライドして印刷できます。
インクが乾いたり隣のラインに付着したりして変な色になってしまうことがよくあるので、クリーニングした上で印刷前に他の紙などで試しておいた方が良いです。
印刷開始するとき若干スペースが空きますが、これはアプリ左上にあるメニューボタン →設定→先頭の空白で調整できます。印刷時の音を無効化したければ、「音を鳴らす」をオフにすればOKです。
色々印刷してみた
ひとまず紙や布など色々なものに印刷してみました。
まず紙への印刷は問題なく出来ました。印刷した後すぐ乾くので、ティッシュや指でこすってもにじみませんでした。
宛名印刷に使う際は、水濡れを防ぐため透明テープを貼っておいた方が安心です。
お次は段ボール。これも問題ありません。また、木材にも印刷できました。
布への印刷もバッチリです。毛羽立っているものなど材質によっては駄目かもしれません。
ノベルティグッズを作るには印刷会社に頼むと結構なお金がかかりますが、それほど印刷品質を求めていないのであればPrinCubeでちゃちゃっと印刷してしまえば簡単かつ安価にオリジナルグッズを作成できちゃいます。
ちなみにインクは水溶性のため、水をかけると消えます。Tシャツにその日の気分に合わせてワンポイント印刷する、というような使い方もできそうです。
毛羽だった布への印刷もできます。ただ、毛に付いて定着しなかったインクがプリンター本体に付いてしまい、周囲が少し汚れてしまったので注意が必要そうです。
紙に印刷するよりは薄めの色ですが、十分なレベルだと思います。
木にも印刷できました。ただし表面が少し加工されているものだと定着せず、拭くと消えてしまいます。木材そのままであれば消えません。
また、暗い色合いの木だと特にカラー部分が見えにくくなります。
インクが乾いていて少しかすれてしまいましたが、薄い色合いの木材ならカラーでも見やすいです。
プラスチックの袋には…駄目でした。つるつるした表面のものではインクが定着せず、インクヘッドが盛大に汚れます。
タトゥー印刷できるという触れ込みでしたが、肌への印刷も失敗しました。タトゥー印刷用のホルダーを付けて試してみましたが、効果はありませんでした。
すでに到着してPermanent Ink (水溶性でないインク) を試した人によれば、金属やガラスに印刷しても全く定着せず使い物にならないとのことでした。
当初の製品紹介からすると誇大広告という感じですが、紙や段ボール、布や木材といったものに印刷するのがメインの方にはとても良いハンディプリンターだと思います。
Indiegogoの出荷分は3月頃に生産が落ち着いてくるそうなので、その頃に改善したロットが出来ていることを祈ります。
Amazonではクーポンandroplus
を使うと5%オフの13,204円で購入できます。
【5/4追記】
防水コーティング材が発売されました。PPやアクリル、ガラス・金属といった素材へ印刷する前にコーティングしておき、乾いてから印刷すれば長持ちするそうです。
単色でも良い場合は、Selpic P1のほうがおすすめです。インクが混じってしまったり乾いて使えなくなったりすることが少ないので、個人的にはPrinCubeよりも便利です。
防水インクを採用したSelpic S1もあります。