USB Power DeliveryやQuick Charge、MFi認証などのテストができる「Kotomi Pro」レビュー

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USB Power DeliveryやQualcomm Quick Charge 2.0/3.0など、様々な規格の急速充電のテストや、電圧・電流のチェックが簡単にできるツール、「Kotomi Pro」を紹介します。

(@kamahei様よりいただきました。ありがとうございます!)


様々な規格の急速充電に対応

「Kotomi Pro」は通常の電圧・電流チェッカーとして使えるだけでなく、いろいろな急速充電規格のテストもできる優れものです。

対応している規格は

  • Qualcomm Quick Charge 2.0
  • Qualcomm Quick Charge 3.0
  • Apple 2.4A
  • USB Power Delivery
  • HUAWEI FCP (Fast Charger Protocol)
  • Samsung AFC(Adaptive Fast Charging)

で、さらにケーブルの抵抗値やAppleのMFi認証にパスしているか、も確認出来ます。

入手性に難あり

「Kotomi Pro」は一台で様々なテストができる上、本格的なUSB 電流スニファに比べ価格が安いのですが、入手方法が今のところタオバオで購入するしかないため、購入しようとすると少し手間が掛かります。

タオバオで直接セラー (開発者の光阪电气) から購入しようとすると、「Kotomi Pro」に電池 (MS621FE) が内蔵されているという理由で発送してくれませんでした。セラー側で外してもらえば大丈夫だと思いますが、その場合は自分で電池を購入して半田付けする必要があります。セラーから購入する場合、価格は 208CNY + 送料 95CNY (=約4,900円) です。

光阪电气さんは英語でも対応してくださるので、電池の問題がOKであれば一度連絡してみると良いと思います。

「タオバオ新幹線」など、タオバオからの購入はいくつか代行業者があるので、それを利用すればセラー→(中国国内輸送)→代行業者→(電池OKな輸送方法)→日本、という流れにできるので、セラーに余計な負担をかけずに購入できると思います。

【5/21追記】

開発者の方に問い合わせてマニュアルをいただきました。英語版: ここからダウンロード 中国語版: ここからダウンロード

ファームウェアのアップデート方法はこちらの記事で紹介しています。v1.73Dev以降では日本語訳を修正しています。

【6/22追記】

非公式ではありますが、AliExpressで36 USDで販売されています。送料無料で日本にも発送してくれるようです。後継製品である、Kotomi Premium KT001も販売されています。Kotomi PremiumではPCソフトを使ってUSB Power Deliveryプロトコルアナライザとしても使えるようになります。 Kotomi Premiumのガワを変えたバージョンのPOWER-Z KT001もAliExpressやeBayで販売されています。

ダイヤルスイッチで操作できる

メイン画面正面下部にIN (入力) のUSB Type-C・Micro USBポートがあり、上部にOUT (出力) のUSB Type-Cポートがあります。左はUSB Type-A オス、右はUSB Type-A メスです。

Kotomi Proの操作は、上部に付いているダイヤル式のスイッチで行います。

スイッチは一回押すと決定 (ホーム画面では表示形式変更)、二回押すと戻る (ホーム画面ではグラフ表示モードに切り替え)、長押しすると設定画面を開く、左右に動かすと選択 (ホーム画面では急速充電トリガー (&解除) とグループ消去)、スイッチを左で長押しするとケーブルの抵抗値のテストモードに入る、という操作になっています。

右下にはUSB Power Deliveryを検出するかどうかのスイッチがあります。

グラフ表示
グラフ表示

起動してすぐの画面では文字で電圧・電流などが表示されていますが、スイッチを二回押すとグラフで電圧・電流をモニターできるモードに切り替わります。

英語や日本語表示も可能

スイッチの長押しで入れる設定では、言語を変更することもできます。デフォルトでは中国語ですが、言語設定は「Language」となっているので分かりやすいです。

英語、日本語、中国語が選べます。普通ヨーロッパ系の言語が入っていそうなものですが、日本語が選べるのは良いですね。

言語は日、英、中
言語は日、英、中

…ただ、日本語はもちろん機械翻訳丸出しです。ほぼ単語ばかりですし、基本的には英語にした方が良いと思います。

v1.73以降では日本語訳を修正したものに差し替えてもらいました。

安心の機械翻訳
安心の機械翻訳

Developer Tools→Advanced Settingsの「Enable (Disable) Warning」で後述の急速充電トリガーを選んだ時の警告を無効化できます。

System Infoでは開発者がyanke928という人であることが分かります。GitHubではKotomiの前身と思われるKanadeというリポジトリが公開されていますが…もしかしてCLANNADやAngel Beats!が好きなんでしょうか。

USB PDのPDOを確認してみる

メイン画面でスイッチを左に倒すと、急速充電トリガーに切り替えられます。「Comfirm」を選ぶと先に進めます。

Comfirm…
typo…

対応したデバイス以外は接続しないでください、と数秒間警告が出ます。OUT側のデバイスが対応しているかどうかに関わらず、選んだ規格の電圧・電流が流れてしまうので、非対応のデバイスの場合故障の原因になる可能性があります。もちろん対応していれば問題ありません。

警告は無効化可能
警告は設定で無効化可能

警告画面から進むと、QC2.0やPower Deliveryなどを選べるようになります。「Auto Detect」ではどの規格に対応しているか自動検出できます。

トリガーメニュー
トリガーメニュー

QC3.0を選ぶと、スイッチを左右に動かして電圧を上下できます。AukeyのPA-T11で試したところ、サポートされている12V近くまで上げられました。

電圧を上下できる
電圧を上下できる

次に、USB Power Deliveryを確認してみます。

まずはNintendo SwitchのACアダプター HAC-A-ADHGAを使います。このACアダプターの出力は、外装では5V / 1.5A、15.0V / 2.6Aと表記されています。

SwitchのACアダプタ
SwitchのACアダプター

Power Deliveryを選ぶと、少しの間画面が暗転し、使用可能なPDO (Power Data Objects) が一覧表示されます。ACアダプター・充電器から充電するデバイス側に「このACアダプター・充電器ではどんな出力ができるか」という情報を通知するものなので、もしも商品情報や外装と違う通知をしていれば、誇大広告・端末に負荷がかかるなどの問題が発生する可能性があります。

この場合、ACアダプターの外装に表記されているものとPDOが一致しているため、ひとまずは安心できます。

PDOを確認出来る
PDOを確認出来る

次に、RAVPower 20100mAh モバイルバッテリー RP-PB059で試してみます。このモバイルバッテリーはUSB Power Deliveryでの入出力が可能で、外装には出力は5V / 3A、9V / 2A、15V / 2A、20V / 1.5Aと書かれています。

RAVPower RP-PB059
RAVPower RP-PB059

Kotomi Proに表示されたPDOでは、なんと外装に表記のない12.0V / 2.4Aが通知されていることになっています。また、15.0V / 2.1Aと微妙に値が違うものがあります。

12V / 2.4Aが意図されたものであればまだマシですが、意図していない場合何らかの不具合が発生する (している) 可能性があります。

謎の12V/2.4A
謎の12V/2.4A

スイッチを押して「I Got it」を選ぶと、検出されたPDOを選んで出力できます。文字色が緑や赤になるのですが、おそらく問題ない誤差の範囲であれば緑、誤差の範囲を超えていれば赤色になるのではないかと思います。

強制的に出力できる
強制的に出力できる

最後にAppleのMFi認証のテストをしてみます。

MFi認証にパスしたケーブルであるかどうかを調べられるのですが、調べるためにはQualcomm Quick Charge 3.0対応の充電器が必要です。

QC 3.0対応充電器にKotomi Proを挿した状態で、確認したいケーブルをUSB Type-A メス側に挿します。今回はAukey Lightningケーブル 2m CB-D41を使用しました。

QC3.0充電器が必要
QC3.0充電器が必要

スイッチを押して「I’ve plugged」を選ぶとテストが始まり、しばらくすると結果が表示されます。この場合はちゃんとMFi認証にパスしているようです。

Passed
Passed

スイッチを左に倒して長押しすると入れるケーブルの抵抗値のテストモードでは、USB Type-A to Type-C・Microのケーブルの抵抗値を計測するNormalモード、4-Lineモード、Type-C to Type-Cケーブルの抵抗値を計測するBypassモードなどを選べます。

Normalモードと4-Lineモードでは表示される図の通りやってもN/Aになってしまいました。何か操作が間違っているのだと思いますが、マニュアルがないので分かりません…。

BypassモードではUSB Type-A オス側を充電器などに挿し、Type-A メス側に0.5A以上の出力をするようケーブルを挿します。挿した後「I’ve plugged」を選び、USB Type-C to Type-CケーブルをIN・OUT両方に挿します。

CtoCをIN・OUTへ
CtoCをIN・OUTへ

「I’ve plugged」を選ぶと抵抗値が表示されます。エレコム USB3-CC5P10NBKで試したところ、138mΩと表示されました。

138mΩ
138mΩ

手軽にテストしたい人におすすめ

Kotomi Proは入手に少し手間がかかるものの、手に入れた後は特にUbuntu環境などを用意せずにUSB Power Deliveryなどのテストができるため、気軽にテストをしてみたい人におすすめです。

他の通販サイトでも手に入るようになれば一番良いのですが…。

USB Type-C製品のレビューが役立った場合、私のほしい物リストから何か贈っていただけると嬉しいです。

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