クラウドファンディング発の製品、ELECJET AnyWatt Oneを購入しました。角型・丸型コネクタのAC電源アダプタをUSB Power Delivery充電器として使えるようにする、世界で初めて製品化された変換アダプタです。
目次
世界初、MagSafe/AC to USB Type-C変換アダプタ
ELECJET AnyWatt One AWOT831はクラウドファンディングサイト Kickstarter で$11,500以上出資され、製品化された変換アダプタです。Apple MagSafeか角型・丸型のACアダプタをUSB Power Delivery充電器へと変換するアダプタで、基板丸出しでないちゃんとした製品として発売されたのはELECJET AnyWatt Oneが世界初です。
しかもUSB PD 3.0準拠で、世界で初めてProgrammable Power Supply (PPS) での出力に対応しています。
今回私が注文したのは角型・丸型コネクタのアダプタを変換するタイプです。(当初は型番 A002 とされていました)
ELECJET AnyWatt One | |
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品番 | AWOT831 |
サイズ | 約177 x 22 x 16mm |
重さ | 32g (丸型コネクタ含むと40g) |
USB Power Delivery出力 | 5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/2.25A PPS: 3~12V/3A |
シンプルなパッケージにケーブルを曲げて入れられています。特に説明書などは入っていませんでした。

本体の下には丸型用のアダプタが2つ入っています。丸型は5.5*2.5と7.9*5.4の2種類に対応しており、Lenovo、Acer、HP、ASUS、Toshiba、IBM、Fujitsuなど様々なノートパソコンのACアダプタを差し込めますが、XPS 15などに付属するDellの細い丸型コネクタには対応していません。

角型なら本体に直接挿せますが、丸型の場合変換アダプタを挿すことになるので、少し見た目が不格好になります。

本体背面には仕様が書かれており、19~20V/3AのACアダプタを変換できることが示されています。なお、当然ながら19VのACアダプタを変換した際は20V出力はできません。15V@2.6Aと書かれていますが、これは誤植で正しくは15V@3Aとのことでした。

家にあったACアダプタはすべて19V出力でした…。今回は富士通のACアダプタ A11-065N5Aを使ってレビューします。

19VのACアダプタ使用時に問題あり
Cold Socket (非Vbus Hot) – ○
USB Type-Cの規格では、機器が接続されたことを確認してからVbusに電圧をかけるよう定められています。
ELECJET AnyWatt Oneは規格通り、機器が接続されていない状態ではVbusに電圧がかかりませんでした。
PDO – △
仕様では出力は5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/2.6A、20V/2.25Aとなっていますが、Total Phase USB Power Delivery Analyzerで確認したところ、実際に通知されているPDOは5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/2.25Aした。 (Xperia XZ Premium G8142でのログ、Nintendo Switchでのログはこちら)
問い合わせたところ、仕様に15V/2.6Aと書かれているのは誤植で、サイト上やパッケージのアップデートが追いついていないとのことでした。
接続した時点で上記のPDOを通知しており、追加でPDOを通知する動作はしなかったため、Split PDOではありませんでした。
入力が19VであってもPDO上は20Vが通知されてしまうため、45W以上を要求するデバイス (Xiaomi Mi Notebook Air 13でテスト) では、20V/2.25Aを使おうとして電圧が足りず、結果充電を開始できないという状態になってしまいました。
電子負荷を使用したテストでは入力が19Vの時に20Vを選んだ場合、18V/1.9Aほどになるとシャットダウンされて15V/3Aが最大となるようにPDOが変わったのですが、Mi Notebook Air 13ではその機能がうまく動かず、充電が開始されませんでした。
AnyWattで45W充電するには、20Vに対応したACアダプタがないと厳しそうです。
Programmable Power Supply (PPS) は3~12V/3Aで、こちらは仕様通りでした。
Programmable Power Supply (PPS) はQualcomm Quick Charge 4でも使用されているもので、電圧・電流を最適な値に調整することで発熱や変換ロスを最小限に抑えられる仕組みです。今のところZTE nubia Z17ぐらいしかQC4に正式対応していませんが、2018年には正式に対応するモデルが増えていくと思われます。
すでに発売されているXperia XZ PremiumやHTC U11なども内部的にはPPSに対応しているので、おそらくソフトウェアアップデートでQC4に対応できると思います。
DR_Swap – △
Nintendo Switchに挿したところ、データ通信での役割を変更するための「DR_Swap」(Data Role Swap) が送信され、Rejectされていました。Xperia XZ Premium G8142ではDR_Swapは送信されていませんでした。
製造中のファームウェア更新などでデータ通信が使用される場合もあり、今回はRejectされているのであまり大きな影響は無さそうですが、本来は送信されるべきではありません。
また、「PD Fraction」と赤字のログがありますが、これはTotal Phaseによると、接点跳動や電気的なノイズなどが原因で発生した、解析できないビットであるとのことでした。ACアダプタをUSB PD充電器へと変換している都合上、これは仕方がないかもしれません。

高速充電規格 – ○
ELECJET AnyWatt OneはQuick Charge 2.0などの急速充電規格には対応していません。規格通り、USB Power Deliveryにのみ対応しています。
過電流防止機能 – ○
ELECJET AnyWatt Oneには過電流防止機能が付いています。
5Vでは3Aを超えると電圧が4.4Vほどに低下し、電流が3.7Aほどになると出力がシャットダウンされました。

45Wを要求するMi Notebook Air 13では、使用したACアダプタが19Vだったため充電できませんでしたが、Nintendo Switchではバッテリー100%・プレイ中に14.9V/0.5A程度で充電できました。

19VのACアダプタでは45W充電がうまくできない場合があるものの、これまでだと捨てるしかなかった古いACアダプタを再利用したり、USB PD充電器を忘れたときでも他の人にACアダプタを貸してもらって充電したり、といろいろな場面で活躍できます。丸型変換アダプタ込みで重さ40gとかなり軽量なので、持ち運びしても邪魔になりません。
現在、ELECJET AnyWatt Oneは公式サイトにて角型タイプAnyWatt SQが$25、丸型変換アダプタ付きが$26で販売されています。
また、MagSafe 1・2を変換するAnyWatt MSも$21.90で販売されています。
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