USB PD 65W出力出来るにしてはかなり小型なINLONG USB PD 65W充電器を購入しましたが、今の時代にまだこんなものが売られているのか、というレベルの代物でした。
商品説明に多数の虚偽あり
INLONG USB PD 65W充電器はUSB Type-Cケーブルが1本付いている小型充電器です。
INLONG USB PD 65W充電器 | |
---|---|
品番 | MINI CHARGER INL-706 |
サイズ | 約10 x 3 x 3 cm |
重さ | 172g |
USB Power Delivery出力 | 商品説明: 5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A ( 含む14.5V/2A 20V/2.25A ) 実際のPDO: 5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3A |
ポート数 |
USB Type-Cポートx1 |
約180cmのUSB Type-Cケーブルは取り外せないようになっています。
商品説明に「折畳式プラグによるコンパクトな設計」と書かれているにもかかわらず、プラグは折りたためません。

Amazonの商品説明には「PSE認定すみ」と書かれていますが…
実際の製品にはPSEマークはありません。さらに、商品説明ではQuick Charge 3.0に対応しているとは一言も書かれていませんが、実際には対応しています。
またUSB PD 3.0と書かれているにもかかわらず、実際はUSB PD 2.0でしか利用できません。

規格不適合
Cold Socket (非Vbus Hot) – △
USB Type-Cの規格では、機器が接続されたことを確認してからVbusに電圧をかけるよう定められていますが、例外的に取り外し不可のケーブルの場合は電圧をかけても良いことになっています。
この充電器は機器が接続されていなくても電圧がかけられています。ただ、虚偽の説明ばかりしているメーカーなので、本当に規格を理解した上でこうしているのかどうかは不明です。
PDO – ✕
USB Type-Cポートの出力は商品説明では5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A ( 含む14.5V/2A、20V/2.25A )となっていますが、Total Phase USB Power Delivery Analyzerで確認したところ、実際に通知されているPDOは5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3Aという結果になりました。 (ログはこちら)
USB Type-C規格で定められている5V、9V、15V、20Vを満たしていますが、商品説明と異なり、20Vが3Aまでとなっています。
接続した時点で上記のPDOを通知していたため、Split PDOではありませんでした。
高速充電規格 – ✕
この充電器はUSB Type-Cポートで、USB Power Delivery以外の高速充電規格であるQuick Charge 2.0・3.0に対応しており、規格に違反しています。
Quick Charge 3.0対応であると理解した上で買うのであれば問題ないのですが、この製品の商品説明には一切Quick Charge対応について書かれていないため、故意に隠しているのであれば悪質です。
Samsung AFC、HUAWEI FCPにも対応しています。

過電流防止機能 – ✕
この充電器では、過電流が起きると出力がシャットダウンされます…一応は。
5VのPDOで確認したところ、PDO上の上限である3Aを遙かに超える5.28Aになってもまだ出力がシャットダウンされませんでした。これ以上はケーブルへの負担が大きいと思われるため中止しましたが、恐らく6A以上でも平気で動き続けそうです。
20VのPDOでは、3.42Aほどで出力がシャットダウンされました。
「とりあえず69Wになったらシャットダウンする」ぐらいの簡素すぎるシャットダウン機能しか持ち合わせていないのではないでしょうか。
正しい説明が「最大出力65W」ぐらい (しかもPDO上では60Wまでなので「シャットダウンせずに65W出せる」だけ) で、他は嘘ばかりです。
世界最小級USB PD 60W充電器であるInnergie PowerGear 60CやDART-Cレベルの製品がこんなお手頃価格で買えるのか、と思いきや実際は値段以下の不燃物でした。返品します。
【10/22追記】
Amazonに通報後、一旦削除されたのですが、また復活しました。
今度は「グローバル商事株式会社」のPSEマークが付いているようですが、またしても本体の表記が「16.5V / 3.65A」(=約60W) と、商品説明と食い違っています。
USB PD規格では通常16.5Vではなく15Vが使われるのが普通なため、仮に16.5Vに対応しているとしても、機器側が15Vまでしか要求せずフルパワーで使えない、ということが起きそうです。
USB Type-C製品のレビューが役立った場合、私のほしい物リストから何か贈っていただけると嬉しいです。