自撮りするにはフロントカメラが必要、だから前面にカメラを搭載するーそんな当たり前を打ち砕くデュアルスクリーンスマホ、ZTE nubia Xを購入しました。
両面カラー表示可能、切り替えは裏返すだけ
かつて二画面スマホ、といえばYotaphoneでしたが、裏面は電子ペーパーになっていてカラー表示できないので、画質も悪く用途が限られる、という問題がありました。
nubia Xでは、裏面に電子ペーパーではなくAMOLED (有機EL) を採用することでカラー表示ができるようになり、実用的になりました。
バックライトを点灯させるIPSディスプレイ等と違い、AMOLEDでは画素自体が発光し、発光しない状態で黒を表現するため、真っ黒な表示だと発光しない = 電力を消費しない、という特徴があります。そのため、常に時計などを表示していても点灯するのは文字の部分だけなので、ほぼバッテリーの持ちに影響を与えません。
ZTE nubia X | |
---|---|
OS | Android 8.1 |
RAM | 6GB/8GB |
ストレージ | 64GB/128GB/256GB |
プロセッサ | Snapdragon 845 |
ディスプレイ | 6.26インチ 2280×1080 IPS 5.1インチ 1520×720 AMOLED |
サイズ | 154.1 x 73.3 x 8.4mm |
重さ | 181g |
SIM | Nano SIM Dual SIM |
メインカメラ | 24MP + 16MP |
フロントカメラ | なし |
バッテリー | 3800mAh |
USB端子 | USB Type-C (Quick Charge 3.0/USB PD対応) |
USB Type-Cケーブル、イヤホンジャック変換ケーブル、充電器が付属しています。
付属品やデュアルスクリーンの詳細等は動画で紹介しています。
大胆発想でフロントカメラを廃止
nubia Xは前面に6.26インチ FHD+ (2280×1080) IPSディスプレイ、裏面に5.1インチ HD+ (1520×720) AMOLEDディスプレイを搭載しています。
日本はともかく世界では自撮り需要が大きいため、他社ではどうにかして画面占有率の向上と自撮りを共存させようとポップアップカメラやスライド機構を採用していますが、nubiaは「それなら背面に画面を付けちゃえば良いじゃない」と二画面スマホを作ってしまいました。
これで前面の画面占有率は93.6%と、スライド機構を採用したMi MIX 3の93.4%を超える結果になり、裏面も合わせると画面占有率154.2%と意味不明な数値になります。
これなら「フロントカメラは不要」というオタク、「高性能なカメラで自撮りを盛りたい」という一般層どちらも満足させられますし、変態なのに合理的です。
スライドやポップアップではどうしても故障率が高まってしまいますが、これなら普通のスマホと変わりません。むしろ落としたときに片方が割れてももう一方で使い続ける…ということすらできてしまいそうです。危ないですが。
バージョン2.20の時点では画面の切り替え方法に「両方の指紋センサーを押しながら裏返す」「画面上のボタンを押す」「裏返したら自動で切り替える」の3つが用意されています。YotaPhoneでは画面上のボタンを押すしかなかったため不便でしたが、nubia Xなら自動で切り替わるので煩わしさがありません。
両方の画面に同じコンテンツを映すか、別々のコンテンツを映すかも選べるので、片方に店員に見せるQRコードを表示しておき、もう片方でゲームをしながら待つ、というようなこともできます。アプリ履歴で切り替えるのと違って両方ともフォアグラウンドアプリとなるので、メモリを食うアプリでもキルされにくい、という副次的効果もあります。

背面には「Alwasy On Display」(AOD) で、常に時計や写真などを表示できます。

他の機種では出来ても時計のスタイルが変えられる程度しかカスタマイズできないのですが、nubia Xでは時計のスタイルはもちろん、表示する写真や動画、文字を自分で好きなように変更出来てしまいます。
オンラインでダウンロードすることもできるので、気分に合わせて気軽に変えられます。
また背面では世界有数の認証機関、TÜV Rheinlandが認定したブルーライトカット技術が利用できます。3段階でカットレベルを調整できるので、長時間背面を使う時でも安心です。

標準で保護フィルムが貼られているのですが、指紋が付くと画面が見にくくなるのが嫌だ、というわけでミヤビックスさんにフィルムを作っていただきました。
今回(も)作っていただいたのは反射防止のOverLay Plus。Amazonでもすでに販売されています。
表面は近接センサーのくぼみまでぴっちり作られており、さらさらで指紋がほとんど目立ちません。

背面は周囲がきついカーブになっているため、残念ながら中央部分のみの保護となり、浮きが出ないよう極薄タイプとなっているため反射防止効果はほぼありません。
前面だけでも指紋の痕や反射がないことで見やすくなりますし、裏面は標準のものを使って前面はOverLay Plusにする、というのが良いかもしれません。

nubia Xには通知などを出さないゲームモードも搭載されており、対応するゲームでは背面をL・Rボタンとして利用できるモードもあります。
ゲームモード中は帯域をゲームに割けるよう、別のアプリがダウンロードするのを防いだり、通知を表示しないようにしたり、と細かく設定できます。

ちなみに、デフォルトでは上にスワイプして操作するジェスチャータイプのナビゲーションバーになっていますが、設定で通常のボタンにも変更出来ます。
ジェスチャーのインジケーションバーを消すことも出来るので、ノッチのない広い画面を隅から隅まで存分に使えます。

nubia XはDSDSDSDSとも言えるスマホで、Dual Screenの次はDual Sensorです。
なんと左右両方の側面に指紋センサーが付いており、どちらの指紋センサーでも指紋認証が可能となっています。
右利きでも左利きでも、持ち方によって指紋認証がしにくくなることがないので良いですね。画面内指紋認証はまだまだ発展途上で、指紋認証登場初期のような認識精度なので、このスタイルにしたのは正解でしょう。

DSDSDSDS、最後はお決まりのDual SIM Dual Stundbyです。
nano SIM2枚が入ります。対応バンドはLTEがB1/B3/B4/B5/B7/B8/B20/B34/B38/B39/B40/B41と日本で使われているバンドが少なめですが、SoftBank/
Y! mobileであれば十分利用できます。
ちなみにロック画面には日ごとに違う世界の風景が表示されるようになっていて、鹿児島や猫島など日本の写真もいくつか確認出来ました。

DS…ではないのですが、カメラもデュアルカメラです。
24MP + 16MPのデュアルカメラはAIによるシーンセレクトや240fps動画の撮影に対応しています。
LEDもデュアルで、一つは自撮り用の4500KのソフトライトLEDとなっています。リアカメラとしても、フロントカメラとしても最高の性能を発揮できます。

下部のUSB Type-CポートはQuick Charge 3.0の他、USB Power Deliveryにも対応しています。
イヤホンジャックはないため、USB Type-C to 3.5mmイヤホンジャック変換ケーブルを利用することになります。

上面にあるのは赤外線ポート…ではなく光センサーのようです。

Playストアのインストールにはroot化が必要
残念ながら、nubia Xは中国での販売を主眼としたスマートフォンなので、Google Playストアなどは入っていません。
インストールするにはroot化が必要で、謎の中華ツールを使う必要があります。一応2.20用のパッチ済みboot.imgとvbmeta.imgはここに置いておきます。
Bootloader Unlockも特殊で、
fastboot oem nubia_unlock NUBIA_NX616J
fastboot oem nubia_unlock_critical NUBIA_NX616J_CRITICAL
という独自コマンドをfastbootモードで実行すればBootloader Unlockされる…のですが、再起動するとlockedの状態に戻ってしまいます。Unlockしてもデータが消去されないのが唯一の救いですが…。
最近のAndroidスマホではAndroid Verified Bootという署名チェックなどをするセキュリティ機能が採用されており、Bootloader Unlockした状態ならユーザーの自己署名でも受け付けてくれるのですが、nubia Xでは再起動でlocked状態に戻るため、nubiaが使っている署名以外では弾かれてしまいます。AOSPのverity用サンプルファイルをそのまま使っているようなので、完全にunlockできない機種に比べればマシですが、署名する手間があるので面倒です。
root化してPlayストアを入れるだけならツールで簡単なので、変態気味な一般人なら大丈夫でしょう。
YotaPhoneに比べかなり現代的に仕上がっており、使い勝手を損ねないAMOLED採用で実用性が増しています。
二画面スマホといえばギミックをおもしろがる変態の持ち物、という印象でしたが、nubia Xは「マルチタスクがしやすい」「メインカメラで自撮りできる」と一般受けする要素がある上、ノッチが無く二画面付いているのに重さ181g・厚み8.4mmというサイズ感に、両サイドの指紋センサーでどの持ち方でも使いやすい、と単なる二画面スマホの域を超えた、使いやすいスマホに仕上がっています。
もちろんSnapdragon 845 + 6GB/8GB RAMで操作は快適ですし、もはや不満点はPlayストアが標準で入っていないことぐらいです。