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PayPalの残高が勝手に出金されてしまう不具合が発生していました。
事前告知なしで出金されてしまう
2021/11/23午前頃より、PayPalの日本アカウント (プレミア・ビジネス) において残高がゼロになっている、身に覚えがない出金がされているという報告が相次いでいます。
これは「ウォレットに登録してある先頭の銀行口座に、残高が全額勝手に出金されてしまう」という不具合が原因です。
残高が消失したわけではないのでまだ安心ではありますが、各通貨ごとに合算されることなく出金されるためそれぞれ割高な手数料・通貨換算費がかかることになってしまいます。
【11/24追記】どうやら他人の口座 (過去の送金先) に引き出されてしまう場合もあるようです。
私の場合はWiseを登録していたため着金が速く気が付きましたが、PayPalからは出金されたという通知は来ていなかったため、おそらく気付いていないだけでPayPalの残高がゼロになっている人は多いと思われます。
(PayPalには口座登録しただけでWise宛に送金したことはなかったですが、一日経たずに送金から入金完了まで済むとは本当に速いですね…)
PayPalカスタマーサービスの回答によれば
当社では、改正後の資金決済法に基づき、 2021年5月1日より、 100万円 (外貨を含む場 合には100万円相当額)を超えるプレミアアカウント及びビジネスアカウントの PayPal 残高につきましては、送金にご利用されるものかどうか、確認させていただきます。
そのため、そのような残高をお持ちのお客様に対しては、ご利用予定をお伺いし、場合によっては、お引出しをお願いしたり、 当社より返金させていただいたりする場合 がございます。
とのことで、この『当社より返金』の部分の処理のテストが誤作動したことが要因とされています。
一部では『日本政府の方針・要請で~』などと (わざと) 曲解して伝えている人もいますが、PayPalのような資金移動業者 (第二種資金移動業) は100万円を超える、送金に使われていない残高がある場合には利用者に払い出しを要求しなければ規制に抵触する恐れがあるため、PayPalが対処をすること自体は資金決済法に基づいた正しい行為です。
2021年6月時点で残高が100万円を超えている人には上記の通知がされていたようです。(私の100万円以下のアカウントには来ていませんでした)
資金決済法改正にあたってのご案内2021年5月1日
ただ、100万円を超える残高に対処が必要なことと今回100万円以下の残高が出金されていることとの整合性がないため、おそらくですがテストプログラムで「もし開発環境で、残高が100万円以上なら」の条件を「もし開発環境以外で、残高が100万円以下なら」のように書き間違えてしまったか、条件を付け忘れてしまったのでしょう。
1〜2週間以内に引き出しキャンセル依頼を出すとのことですが、すでに着金している場合は取り消しが難しく、そのままになる可能性が高いです。
私の場合は今すぐ必要ではない少額の残高だったので良かったですが、PayPalをビジネス用途のメイン口座として利用している人の場合、運転資金を予期せず使えなくなってしまったり、PayPal送金が予定通りできなくなってしまったりする可能性があります。
「顧客の資金を告知・確認なしに出金する」という資金移動業者としては決して起こしてはならない深刻な不具合ですが、今のところPayPalによる正式な不具合告知はありません。
【追記】
24日9:00に公式サイトにて不具合のお詫びが公開されました。
『ペイパルのアカウント残高が移動したように表示されました。』と書かれていますが『移動したように表示』ではなく本当に移動しています。
昨日時点で問題を把握しておきながら、お詫びのページには法改正対応のテストの誤動作だとは記載されていません。
【11/25追記】
誤って出金された残高のうち、キャンセル可能だったものについてはPayPal残高に戻り始めているそうです。私の口座のように着金済みのものは変化が無く、PayPalからは一週間が過ぎた今でも特に連絡はきていません。
元々日本円以外のドルなどだったものも日本円で返却されているようで、円安が進む中での為替差損益が考慮されているのかは不透明です。
『改正資金決済法対応に伴うシステム処理とも関係ございません。』とも記載されており、カスタマーセンターの回答とは矛盾しています。調査を進める中で要因が異なると判明したのかもしれませんが、詳細が公表されていないため不明です。
海外送金・外貨受取にはPayPalを使わざるを得ない場合もあるかと思いますが、可能であればWiseを使った方が手数料が安くなるのでおすすめです。
WiseはPayPalと同じようなサービスですが、PayPalと違ってドルやユーロなど各国の通貨を受け取れる現地の銀行口座を作成でき、例えばドルであればACH送金してもらうことで手数料無料で受けとりできます。
今回の騒動で身をもって体験できましたが、相手から送金されて着金するまでの時間がかなり短く、通常の銀行での送金よりも速く、安くやりとりできます。
デビットカードも作成できるので、受け取った外貨をそのまま海外通販で使うこともできます。