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ASUS ROG Phone 7をレビューします。
堅実なアップデート版
ROG Phone 7はSnapdragon 8 Gen 2を搭載したゲーミングスマホです。
ROG Phone 6からおおまかなデザインや仕様は変わらず、SoCやメモリ・ストレージなどの強化をすることで性能を底上げしています。
最新規格を採用するだけで満足するメーカーが多い中、ROG Phone 7ではリード・ライトともに高速な高品質メモリ・ストレージを採用しています。
バッテリーに負荷を掛けにくいバイパス充電、低音が強めなフロントステレオスピーカー、イヤホンジャック、側面USB Type-Cポートなどゲームに必要な機能は一通り揃っています。
このレビューは8GB+256GB版・CN_AI2205_33.0820.0810.121で行っています。
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- バイパス充電対応6,000mAhバッテリー
- 側面USB 3.2 Gen 1ポート & USB Type-Cポート
- 低音が強いフロントステレオスピーカー
- 3.5mmイヤホンジャックあり
- スペックを考えると妥当だが重い
- ROG Phone 6よりタッチ遅延が増加 (バグ?)
ROG Phone 7 (ASUS_AI2205_A) | |
---|---|
OS | Android 13 |
RAM | 8GB / 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB / 512GB UFS 4.0 |
SoC | Snapdragon 8 Gen 2 |
ディスプレイ | 6.78インチ FHD+ 2448 x 1080 アスペクト比 20.4:9 165Hzリフレッシュレート AMOLED |
サイズ | 173×77×10.4mm |
重さ | 239g |
SIM | nano SIM + nano SIM |
リアカメラ | 50MP (Sony IMX766) + 13MP (超広角 OmniVision OV13B) + 5MP (マクロ Samsung S5K5E9YX04) |
フロントカメラ | 32MP (OmniVision OV32C) |
バッテリー | 6,000mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen1) x1 USB Type-C (USB 2.0) x1 |
バンド | SA: N1/N3/N5/N8/N28a SA & NSA: N41/N77/N78/N79 FDD-LTE band: 1(2100), 2(1900), 3(1800), 4(1700/2100), 5(850), 7(2600), 8(900),18(800),19(800),26(850), B28a(700) TD-LTE Bands: 34(2000), 38(2600), 39(1900), 40(2300), 41(2500), 42(3500), 48(3600) CDMA Bands: Support (BC0 800MHz) (No support CDMA2000 EVDO) WCDMA Bands: HSDPA 800 (19)/ 900(8)/ 850(5/6) / 1700(4) / 1900(2) / 2100(1) EDGE/GPRS/GSM (850, 900, 1800, 1900 MHz) |
目次
説明書、保護ケースや充電ケーブル、充電器などが付属しています。
保護フィルムは最初から貼り付けられています。
屋外でも見やすいディスプレイ
ROG Phone 7は6.78インチFHD+ 2448 x 1080解像度のディスプレイを搭載しています。
フロントステレオスピーカーを搭載するため上下のベゼルは太めです。
Samsung AMOLEDで、配列はダイヤモンドピクセルです。
明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大611nitsに達しました。
屋外ではさらに高輝度モードが発動し、990nitsになることを確認できました。
日中の屋外でも見やすいです。
リフレッシュレートは最大165Hz対応で、144Hz・120Hz・90Hzも選べます。
165Hzリフレッシュレート・720Hzタッチサンプリングレート設定にてWALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計39.5msでした。
何故か画面描画の遅延が大きく、ROG Phone 6の頃より悪い結果となってしまいました。
CPUクロックを最大値に固定すると画面描画の遅延は18msほどに改善されたため、CPU周りのチューニングが未完成なのかもしれません。
120Hzリフレッシュレート・720Hzタッチサンプリングレート設定にて計測したタッチ遅延は合計41.5msでした。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。
画面内指紋認証センサーを搭載しており、認証は高精度です。
スリープ時に画面タップや持ち上げで指紋認証アイコンを表示させられます。
ディスプレイ左上には通知LEDがあります。
最近は狭ベゼル化の都合で廃止されることが増えましたが、通知LEDがあればAODを使わずとも通知の有無を確認しやすいです。
ゲーミングスマホらしく光る背面
ROG Phone 7の背面ロゴにはLEDが搭載されており、様々な色に光ります。
背面はさらさらとしていて指紋が付きにくいです。
カメラの出っ張りは最小限です。
手持ち撮影した写真はこちらに保存しています。
2xズームが意外と綺麗です。
最大8xズームできるものの、ディテールは潰れデジタルズーム感が強い写真になるので微妙です。
ゲーミングスマホですし、最低限の画質でも十分でしょう。
3.5mmイヤホンジャック搭載
最近のハイエンドモデルでは非搭載であることが多い3.5mmイヤホンジャックもROG Phone 7にはちゃんと用意されています。
イヤホンジャックを搭載しつつもIP54防水防塵で、多少の水濡れは問題ありません。
WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると34.2msでした。
ゲーミングスマホとしては少し遅延が大きめです。
Cirrus Logic CS35L45アンプを搭載しています。
フロントステレオスピーカーで低音が強く、ベースの弦の音などもしっかり聞こえ迫力ある音で楽しめます。
ボーカルはほんの少し奥まった位置から聞こえるように感じ、高音はクリアではあるものの控えめです。
上部はマイク穴のみです。
イヤホンジャックではDirac Virtuoという、ステレオ音声を3Dオーディオに変換する空間オーディオ技術を利用できます。
側面にもUSB Type-Cポートが
ROG Phone 7の左側面には中央部にUSB Type-Cポートがあります。
USB 3.2 Gen1で映像出力に対応しており、横持ちのゲーム中でも手を邪魔することなく充電できるようになっています。
ちなみに側面ポートのほうがメインポート扱いで、fastbootコマンドを使うときなどは側面ポートで接続しないといけません。
青色の部分はSIMトレイで、nano SIM 2枚が入ります。
電話アプリで*#*#3642623344#*#*
とダイヤルすることで日本キャリアのVoLTEを使えるようになります。
通話録音機能もあります。
右側面に電源ボタンと音量ボタンがあります。
左右にはタッチキーになるAirTriggerがあり、画面を触らずにアクションを起こせます。
ゲーム以外でもカメラ起動やサイレントモード切替などのアクションを設定できます。
バイパス充電でバッテリー負荷軽減
ROG Phone 7のゲームモードにはマクロや側面トリガーのAirTriggersなど、ゲームプレイを快適にする機能が多数あります。
その中でも「バイパス充電」と呼ばれる、バッテリーを充電せずに電力供給できる機能はゲームを長時間プレイする人には必須レベルで便利です。
ゲームプレイ中に充電してもバッテリーには充電されないため、発熱を抑えられます。
発熱を抑えることでバッテリーの負荷を軽減できますし、温度制御でゲームがガクガクになることも防げます。
残りのバッテリー残量に応じて自動的に切り替える「スマートバイパス」もあります。
ゲームモードではパフォーマンスモードにあたるX Modeのほか、自分で細かく調整することもできます。
ゲームチューニングLv3ではスマホクーラーの装着を推奨されます。
タッチサンプリングレートを720Hzにしたり、スライド感度などを調整したりすることもできます。
ちなみにroot化していれば
echo 1 > /sys/devices/platform/soc/ac0000.qcom,qupv3_1_geni_se/a90000.i2c/i2c-2/2-0038/fts_game_mode
echo "2" > /sys/bus/i2c/devices/i2c-2/2-0038/rise_report_rate
echo "003.003.003" > /sys/devices/platform/soc/ac0000.qcom,qupv3_1_geni_se/a90000.i2c/i2c-2/2-0038/game_settings
のようにゲームモード、720Hzタッチサンプリングレート、スライド感度等の設定をコマンドでできます。GSIでも動作します。
グラフィック面でもMSAAやテクスチャーフィルタリング品質などを調整できます。
高い性能を発揮
ROG Phone 7はSnapdragon 8 Gen 2を搭載しており、強力な冷却機構も相まって高い性能を長時間維持してくれます。
ベンチマークアプリを認識すると自動的にX Modeがオンになりますが「ベンチマークアプリを識別して特別扱いしてはならない」というベンチマークの利用規約があるので、公平を期すためオフにして計測します。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1846・マルチコア5236、通常版でシングルコア1841・マルチコア5261でした。
大きな変化がなく、X Mode以外にはパッケージ名判定での性能制御は行っていないようです。
Geekbench MLにてTensorFlow Lite・NNAPIで計測したAI性能は、スコア651でした。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア3719→2408で、温度上昇は26℃→39℃ (13℃上昇)でバッテリー消費は9%でした。
X Modeオフの状態では発熱・バッテリー消費を強めに抑える方向で調整されるようで、安定度は他の8 Gen 2スマホより少し低めです。安定度45%のOPPO Find X6 Proに比べればマシですが…。
ゲームでは発熱を許容するX Modeを使うことを前提として、普段使いはバッテリー消費を抑えられるようにチューニングした、ということでしょう。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア16513でした。
UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。
Snapdragon 8 Gen 2スマホの中でもかなり高速な部類で、すべての項目がトップクラスです。
他のスマホでは一部しか高速でないことが多く、どれも安定してスピードが出せるというのはさすがゲーミングスマホを名乗るだけあります。
原神をX Mode・最高画質・60FPS設定・スメールでプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均60.8FPSで1FPSあたり90.48mWの消費電力でした。
高いFPSである上に「ジャンク」も少ないため体感も滑らかなプレイでした。途中で一瞬だけ40FPS台まで落ちる場面がありましたが、それ以外はほぼ60FPS貼り付きです。
バッテリー温度は最大38℃程度までの上昇でした。
中国版でもほぼ日本語化できる
中国版は初期状態では英語ぐらいしか言語を選べないものの、Developer optionsを出してUSB debuggingを有効にした上でPCでadb shell settings put system system_locales ja-JP
を実行して再起動することで日本語設定にできます。
設定の1階層目は英語のままですが、2階層目以降はほとんどがちゃんとした日本語になっています。
APKMirrorなどでPlayストアのAPKをダウンロードしてインストールするだけでPlayストアを使えます。
Applications設定にGoogle Servicesのオプションがあり、ここで「Allow to use mobile data」をオンにしておかないとデータ通信時にGmail等を使えなくなってしまいます。
ポケットモードや手ぶくろモードが用意されています。
ジェスチャー操作も豊富で、ダブルタップで画面オンオフはもちろん、文字を書いてアプリ起動するジェスチャーなどもあります。
スクリーンショット設定ではファイル形式を選べるほかステータスバーをスクリーンショットに映さない設定もあり、かゆいところに手が届きます。
Bootloader UnlockはUnlock Device Appをインストールすることで可能になります。
まとめ
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- バイパス充電対応6,000mAhバッテリー
- 側面USB 3.2 Gen 1ポート & USB Type-Cポート
- 低音が強いフロントステレオスピーカー
- 3.5mmイヤホンジャックあり
- スペックを考えると妥当だが重い
- ROG Phone 6よりタッチ遅延が増加 (バグ?)
ROG Phone 6から順当な進化をしており、Snapdragon 8 Gen 2のおかげで重量級ゲームも軽々と動かせます。
ゲームプレイが快適になるバイパス充電やAirTrigger、側面USB Type-Cポートなどを搭載しているほか、スピーカーもフロントステレオで低音が強いため迫力あるサウンドでプレイできます。
ROG Phone 6よりもタッチ遅延が増えているところが気になりますが、おそらく今後のアップデートで改善されるでしょう。
中国版は4499CNY~、グローバル版は$999~で販売されます。