スマホのピーク輝度という嘘 – 実際の輝度は宣伝の半分に満たないことも

ピーク輝度

最近のスマートフォン発表会ではピーク輝度をアピールすることが増えましたが、実はその通りの輝度になる状況は限られています。

ピーク輝度の数値は実使用ではほぼ出ない

主に中国のスマートフォンでは、ピーク輝度1500nits、いやこちらは2600nitsだ、などと輝度のアピールをするメーカーが増えています。

例えばOPPO Find X6 Proではピーク輝度 (Local peak brightness) 2500nits・標準輝度 (Typical brightness / Global peak brightness) 1500nits、Xiaomi 13 Ultraではピーク輝度2600nits・標準輝度1300nitsと宣伝されています。

ここで出てきた「ピーク輝度」と「標準輝度」の違いがミソで、ピーク輝度を大々的に宣伝するメーカーが多いものの、実は注目すべきは標準輝度のほうです。

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ピーク輝度とは一般的には明るさ100%の状態で計測された最大値ですが、細かい計測条件を示しているメーカーはほぼありません。

特に有機ELでは高輝度モードを利用できるパネルが多く、屋外 (を模したテスト環境) のようなかなり明るい場所で2%だけ白いエリアを表示してその部分の輝度を計測した数値をピーク輝度とする場合があります。

輝度は大がかりな装置を使わなくともLX-1336Bのような輝度計を使うことで計測できます。(業務用に比べれば多少誤差は出るでしょうが)

 

OPPO Find X6 Proはピーク輝度2500nitsと宣伝されているものの、実際に屋外で輝度を計測してみるとこのように1192nitsにしかなりませんでした。

スマホを手に持つ、白いエリアをさらに小さくするなど色々条件を変えてみましたが1500~2500nitsに達することはありませんでした。

おそらくOPPOは2%どころか1ピクセルのみ表示するなどしてピーク輝度を計測したのではないかと思われますが、2500nitsのディスプレイを期待して購入したユーザーは実際には半分にも満たない輝度でしか使えないことになってしまいます。

例え本当に1ピクセルのみで2500nitsを出せるとしても、そんなシチュエーションはまずないですし意味がありません。

ピーク輝度

消費電力や発熱が増えるためより厳しい条件となる、100%白表示 (全白) の状態では1140nitsとなりました。

標準輝度である1500nitsには近い数値であるため、実用的な輝度の目安を知りたければピーク輝度よりも標準輝度を見た方が良いということが分かります。

1000nits程度あれば直射日光下でも見やすいです。

1140nits

高輝度が求められるのは屋外だけではなく、HDR動画でも必要とされます。

通常はHDR動画を再生したときは高輝度モードと同じか超える程度の輝度 (デバイス別一覧はこちらのページの「画面の明るさ」にあります) にしてくれますが、OPPOグループの場合は「屋外でのみ高輝度モードを有効化する」という制御をしているため、単純に屋内で画面の明るさを最大にしたときと同じ程度の輝度にしかなりません。

ブライトHDRビデオモードをオンにしてもこの挙動は変わりません。

周辺が3万ルクス程度の環境では屋外だと判定されず、5万ルクス以上必要なようです。

ピーク輝度

全白でも同様です。

HDR

Xiaomi等他メーカーであれば屋内でもHDR動画再生時はちゃんと1000nits近く出してくれることが多いので、明るいHDR動画を楽しみたい方はOPPO / OnePlus / realme以外のスマホを選ばないといけません。

例えばRedmi Note 12 Turboの場合は、屋内でのHDR動画再生時に945nits程度を安定して出してくれます。

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明るさ

ベンチマークの数値だけをよく見せかけるベンチマークブーストをする、レンダリング画像だけベゼルを細く見せかける、実際のハードウェア構成と異なるイメージ画像を使うなど、メーカー側はどうにかして実用的な数値よりも良く見せかけよう、詐欺にならない程度にミスリードしようとしてきます。

スマホ選びの際は数字遊びに騙されないよう注意しましょう。

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