転売屋から海外スマホを買うべきでない3つの理由

転売屋

なぜ海外スマホをできるだけ転売業者ではなく正規ルートから手に入れた方が良いのか、3つの理由を紹介します。

転売業者から買う人だけの問題ではない

まず転売業者・転売ヤーの定義は「メーカーではなく、一般消費者向けの小売店などで商品を手に入れて定価以上で消費者向けに販売する事業者」で、「メーカーから直接仕入れて販売する商社・小売業」とは区別されます。

例えば希望小売価格10,000円の商品を10,000円で販売するのが小売業、15,000円で販売するのが転売屋というイメージです。

いったん一般消費者の手に渡った「古物」を売買する場合は古物営業法に基づく古物商許可を受ける必要があり、特に悪質な転売業者は古物商許可すら受けずに脱税行為をしていることもあります。

「購入代行という名目だから転売ではない」という主張もあるものの、クレジットカード支払いだと決済時点では業者に金銭が渡らない、つまり業者自身のお金で買ってユーザーに売ることになるので事実上転売行為になります。購入代行と言い換えているだけで、結局非正規ルートで定価より高く販売しているという点でユーザーやメーカー視点では変わりありません。

 

それではなぜ転売業者から買うのをできるだけ避けるべきなのか、理由を3つに絞って紹介します。

 

なお、実際にどこで購入するか決めるのはあなた自身です。

「絶対に正規ルートで買え」という命令ではないですし、vivo製品のように物によっては正規の購入ルートがない・難易度が高すぎる場合もあるため、100%否定するものではありません

あくまでもこの記事は、ただのミーハーではないガジェットオタクに対して、正規ルートがある場合に「正規の購入ルートがあるにもかかわらず、転売業者を最優先で選んでしまうのは良くない」という主張をするものです。

やむを得ない事情がある、時間が無くて今は転売屋に頼るしかないという方もいるとは思いますが、正規ルートで購入するという選択肢を頭の片隅にでも置いておいてください。

また、論点をずらそうとする人がいるので書いておくと、「海外スマホ」というのは国内で正規販売されていないスマホを指します。国内の小売店やキャリア販売がどうこうは関係ありません。

理由1. 需要予測がしにくくなる

  • 日本での正式販売の可能性の芽を自分で摘むことになる

メーカーがどの地域にどの製品を投入するか決定する際、「その地域での需要」があるかどうかの情報は喉から手が出るほど欲しいものです。

実際にXiaomiはPOCOブランドの製品を日本に投入した理由の一つに、「越境ECサイトでの購入者のうちおよそ10%が日本のユーザーだった」ことを挙げています。

具体名は出ていませんが、「越境ECサイト」というのは発表会で言及のあった公式販売店のうち、日本向けにも販売しているAliExpressやGshopperの公認代理店のことでしょう。

弊サイトはAliExpressのPOCO Phone StoreGshopperなどと提携しており、やりとりの中で地域毎の売上を把握していることが分かっています (そうでもなければ木っ端の日本メディアに情報提供しないでしょう) し、逆にこちらからSNS上での反応や「Mシリーズの売上が悪いがFシリーズはコスパが良く人気だ」「ゲーム用途で最適化が進んでいるSnapdragonが好まれる」などと現地情報の提供を行うこともありました。

シャオミのブランド「POCO」が日本上陸、Xiaomiと何が違う? スティーブン・ワン氏から聞いた
 シャオミ(Xiaomi)は6月23日、グローバル展開しているブランド「POCO」を日本で展開することを正式に発表した。あわせて、ハイエンドモデルのスマートフォン「POCO F4 GT」を発表、発売した。…

ところが、非正規の転売業者から購入してしまうと「日本人が買っている」というデータが出なくなってしまいます

転売業者は中国や香港などの小売店でスマホを購入するため、日本人が買ったのではなく中国や香港の人間が買ったとしてカウントされます。

需要予測だけで製品投入が決まるわけではないとはいえ、具体的な売上データがあるのとないのとでは製品投入を上層部に説得する難易度は大きく変わるでしょう。

 

転売業者から買うことで、本来望むべき「日本で正規品を購入できる」未来に至る可能性を奪ってしまっているのです。

もちろん、欲しいスマホの国内版がちゃんと出ている場合は国内直販サイトで買って応援するのが一番の正解です。

理由2. 使える予算が少なくなってしまう

  • 自分自身が不利益を被る

定価に上乗せされた金額で購入するということは、当たり前ですが定価で買うときに比べて自分の予算の減り方が大きくなります

ただでさえ端末価格が上昇している中で、不要な第三者に予算を奪われるというのは避けられるなら避けるべきです。

 

多少のリスクがあるとはいえ、保証や返品などは正規ルートでもちゃんと受けられますし、むしろ転売屋と違って上乗せなしに正規サービスを提供してくれます。

転売屋から買うと並行輸入 (非正規ルートの購入) になりメーカー保証の対象外となります。しかし転売屋はメーカーに対して、さも転売屋自身が使っていて問題が起きたかのように虚偽の内容で連絡して保証サービスを受けようとします。

転売屋から買った人は「ちょっとお金を出すだけで保証を受けられるんだから良いじゃん」とでも思うのでしょうが、メーカーに不誠実な行為をしているという自覚を持ってもらいたいものです。

ドブに捨てる

英語ができない、トラブル時に即返金させたいという人は転売屋に頼らざるを得ないのだと思いますが、そもそもそういう人はリスクの塊である海外スマホにわざわざ手を出すべきではないと思います。リスクのあるものに手を出すのは、自分自身で正しくリスクを解消・回避できるようになってからの方が安心です。

安心をお金で買いたいのなら、国内キャリア販売の端末のほうが何のリスクもなく合法的に安く購入でき、手厚い正規の保証を受けられます。

理由3. メーカーの利益が少なくなる可能性がある

  • メーカーも不利益を被る

これは理由2. と連動する感情論に近い理由ですが、転売業者から購入するとメーカーの利益が薄まってしまう可能性があるという問題があります。

ファンであれば「推し」に入るお金は多ければ多いほどいいと考えるのが通常ではないでしょうか。

 

企業としては「ついで買い」(クロスセル) やより上位のモデルを買ってもらうこと (アップセル) を狙うものですが、転売屋が勝手に定価に上乗せすると、ユーザーとしては予算に収まりきらず単品だけで諦める可能性が高まってしまいます。

予算が足りなくなれば自分は欲しい商品を諦めないといけませんし、メーカーは本当だったら買ってもらえていたものを取り逃がしてしまうため、両者とも損をして転売業者だけが得します

もちろん予算はぴったり決まっていないでしょうし、浮いた予算で同じメーカーの商品を買うとは限りませんが、予算が同じだと仮定すれば転売屋から買った場合は、少なくとも上乗せ分の金額で他の商品を買う可能性は0になります。

0と可能性が少しでもあるのとでは大違いです。

可能性が少しでもあれば、後はメーカー側の努力でアップセル・クロスセルを狙えます。

(おまけ) 直販店があるなら小売店で買うよりメーカーの利益が大きいかも

※何故か結論に至るまでの途中だけが切り取られるので上と分けました。

正規価格から上乗せする転売屋から買うのはユーザーにもメーカーにも不利益がある、ということは上記理由2.と3.で説明しました。

さらにメーカーの利益を増やしてあげたいという奇特なオタクは、正規ルートの中に直販店がある場合は直販店を選んだ方がベターかもしれません。

 

商社・小売業は、メーカーから定価よりも安い仕切り価格で仕入れ、定価との差額を利益とすることが通常です。

それに対して直販店は「仕切り価格で売る」というプロセスがなく、定価そのままで販売することができます。

もちろん商社・小売業との取り決めで販売数確約など直販店だけだと実現できないメリットもあるため「絶対に直販のほうが利益が大きい」とは言えないですが、一般的には直販店のほうが利益が大きくなる可能性が高いです。

一般ユーザーはそんなことを気にせず安くて買いやすい正規の手段で買えば良いので、あくまでもメーカーの利益が少しでも多い方が良いという奇特なオタク向けです。

利益小売店より直販がベターというのは「転売屋から買うのは避けるべき」が前提の話なので、奇特なオタク以外はとにかく転売屋を避けて、直販店や正規の小売店から買うことを考えれば良いです。

転売屋から買ってしまうと、理由2.と3.の通り転売屋だけが儲かり、自分もメーカーも損をします。

反論1. 定価からの上乗せは保証や付属品が充実しているからだ

転売業者が上乗せしているのは、安心のための保証が充実していたり現地の購入特典も付けてくれたりするからだ、という主張があります。

ただ、保証を付けてくれるのは京東やAliExpressも同じですし、転売業者と違って無料で正規の保証が付いています

転売業者で保証を使うということは「新品を正規ルートで購入して使用している顧客に対して保証を提供する」「並行輸入 (非正規ルートでの購入) は保証対象外」が基本のメーカーに対して、転売業者自身が使っているわけではないのに嘘の内容でサービスを受けようとすることにもなります。好きなメーカーに対して嘘をつくことに罪悪感はないのでしょうか。

JD 京東

京東では購入特典が例え2便に分かれるほどの大きな箱に入っていようと、5%も上乗せせずに1つ分の送料で届けてくれます。

これまで30台以上京東から購入して保証を使うほど深刻なトラブルはありませんでしたし、DeepL翻訳サービスを使えば例え英語が分からなくても簡単にやりとりできます。

特にAliExpressならPayPalで払えば日本語でPayPal相手にクレームを入れることもできます。万が一返品することになっても、別に法律を勉強しなくとも規定のフォーマットに従って記入するだけで郵便窓口から海外発送できます。

 

海外通販にチャレンジする気がない・時間がない一般人やリスクを一切許容できない人 (…違法端末使ってるのに?) は転売業者を使うしかないのでしょう。

最初に書いたとおりこの記事はガジェットオタク向けなので、そういう人は対象外です。

反論2. お前がやってみろ

テンプレ反論のようですが、「そこまで言うならお前が転売事業をやってみろ、サポートや保証のためには上乗せが必要だ」という人が多いです。

直販や公認代理店が存在するレッドオーシャンに「サポートにコストをかける転売事業」で殴り込みを掛けるのはナンセンスです。

 

もし私がやるなら転売業者ではなく、公認代理店を設立して定価に上乗せすることなく正式なサポートを提供できる体制を目指します。

現にXiaomiの場合だと公認代理店になって国内定価に上乗せせず国内サポートを実現している「龍祥コミュニケーション株式会社」が存在しているため、転売業者という形でないと事業ができない、上乗せしないと国内サポートを提供できないというのは詭弁です。

「龍祥コミュニケーション株式会社」は資本金500万円の小さな会社です。

反論3. 京東だって手数料をとっている

日本から購入できる直販店がある「京東」の出品料は200万円以上かかる、だからメーカーに優しいとは言えないという反論もありますが、零細企業はともかく大企業にとって200万円は端金です。各スマホメーカーの決算を見れば分かるとおり、年間で億単位のお金が動いている中での影響力はかなり小さいはずです。

もしプラットフォーム手数料が高くて小売業者に卸すほうが利益が大きいのなら、わざわざ直販店を持たずに公認代理店や小売業者にすべて任せるでしょう。

多少のプラットフォーム手数料を払っても、直販するほうが利益が大きいのだと考えるのが自然です。

 

繰り返しますが商社や小売店が悪いと言っているのではなく、ちゃんとした商社や小売店にはロット単位で買い取ってくれるなどメリットもあります。

直販があるなら優先的にそこを選びたい、転売屋から買ってしまうとユーザーもメーカーも要らぬ損をすることになるという話です。

 

京東では送料を実質的に国際配送の代行手数料だと考えることもできなくはないですが、例えば5999元の商品の配送料は129元なので、約2%の手数料と言えます。

AliExpressの公認代理店だと定価+送料無料であることが多いので、代行手数料だという主張は通りません。

反論4. 嫌なら使うな

自分が使わないだけで済む問題ではないことは、「理由1. 需要予測がしにくくなる」で説明済みです。

反論5. 時間が無いから代行を頼むしかない

最終的にどこで買うか決めるのは自分自身なので、デメリットや余計な支出があることを理解した上で使うのならそれで良いと思います。

いつか時間を作って正規ルートに挑戦できるよう、頭の片隅にでも選択肢として入れておいてください。

まとめ

転売業者はあくまでやむを得ず使う最後の手段であって、直販や公認代理店を使える場合 (販路的な意味でもリスク許容度的な意味でも) は優先的にそちらを選ぶべきです。

中国版スマホには京東、グローバル版スマホはAliExpressGshopperAmazon.comの利用がおすすめです。

また、メーカーの中にはZTEのように公式直販サイトで日本に直送してくれる場合があります。

京東 JD .comで中華スマホを購入する方法。新製品はメーカー直販が最安、日本配送も可能 – AndroPlus
京東商城・京东 (JD.COM・ジンドン) での買い方・使い方を軽く紹介します。 最新中華スマホを定価で買える 中国のスマートフォンはかなりコスパが良いものの、国内展開していない製品は海外から輸入するほかなく、正規販売店がAliExpressなどにない場合は転売屋から買うことになってしまいます。…
京東 JD .comで中華スマホを購入する方法。新製品はメーカー直販が最安、日本配送も可能 - AndroPlus

はてブ Pocket Mastodon タイトルとURLをコピー
カテゴリ: , ,

技適の無い機器の使用は自己責任です。
中国版デバイスは日本語に対応していないものが多いため、ADBコマンドでの日本語化が必要です。
root化済み・非rootそれぞれのやり方はこちらの記事を参考にしてください。