AnTuTuベンチマークがGoogle Play プロテクトでブロック対象になり、偽物も現れるなどきな臭くなってきたので、ベンチマークアプリを変えることにしました。自分用に各SoC・デバイス毎のベンチマーク結果をまとめておきます。
ベンチマーク結果一覧
AndroidのベンチマークアプリではAnTuTu Benchmarkが人気でしたが、 2020年3月頃にGoogle Playストアから削除されてしまいました。
当初は「広告詐欺に関する一斉BANの巻き添えを食らっただけ」という見方もありましたが、Playストアからの削除だけでなくAPKインストール時にも警告が出るなどGoogleからの締め付けが強くなっており、単なる誤BANではなく本当に個人情報を盗んでいる可能性も出てきています。
また、AnTuTu Benchmark Testを名乗る偽物と思われるアプリまで登場しています。
偽物と思われるAnTuTu Benchmark TestがPlayストアに登場。インストールは非推奨 – AndroPlus
ベンチマークする程度でリスクはとりたくない、ということで、今後のベンチマークはAnTuTuではなくGeekBench 5・PCMark 2.0・CPDT Benchmarkで計測することにしました。
比較対象がないと分かりにくいため、各ベンチマーク結果をここにまとめておきます。
自分で計測したものを順次追加していきます。
なお、個別記事ではWeTest PerfDogで計測したゲーム性能データも掲載しています。
WeTest PerfDogでAndroid/iOSのゲーム性能・FPSを計測。XiaomiやMediaTekも採用するプロツール – AndroPlus
ベンチマーク端末 (モデル名の数字は下記グラフの*の数値と一致させています):
端末一覧
モデル名
OS
SoC
ストレージ
1. OnePlus 8 Pro (WQHD+)
Android 10
Snapdragon 865
UFS 3.0
2. OnePlus 7
Android 10
Snapdragon 855
UFS 3.0
3. Xperia 1
Android 10
Snapdragon 855
UFS 2.1
4. OnePlus Nord
Android 10
Snapdragon 765G
UFS 2.1
5. Xperia XZ Premium
Android 9
Snapdragon 835
UFS 2.1
6. Rakuten Mini
Android 9
Snapdragon 439
eMMC 5.1
7. VANKYO MatrixPad S30
Android 9
Unisoc SC9863a
eMMC 5.1
8. Dragon Touch NotePad 102
Android 10
Unisoc SC9863a
eMMC 5.1
9. Galaxy Tab S7
Android 10
Snapdragon 865 Plus
UFS 3.0
10. Google Pixel 3a
Android 11
Snapdragon 670
eMMC 5.1
11. OnePlus 8T
Android 11
Snapdragon 865
UFS 3.1
12. Teclast M40
Android 10
Unisoc T618
eMMC 5.1
13. Galaxy Tab S7+
Android 10
Snapdragon 865 Plus
UFS 3.0
14. realme 7 5G
Android 10
MediaTek Dimensity 800U 5G
UFS 2.1
15. Xiaomi Mi 11 (WQHD+)
Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
16. motorola edge s
Android 11
Snapdragon 870
※GPU 905MHzUFS 3.1
17. Xiaomi POCO F3
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
18. OnePlus 9 Pro
(ColorOS、WQHD+)Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
19. OnePlus 9 Pro
(OxygenOS、WQHD+)Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
20. vivo iQOO Neo5
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
21. POCO M3 Pro 5G
Android 11
MediaTek Dimensity 700
UFS 2.2
22. Lenovo Yoga Pad Pro
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.0
23. Lenovo Yoga Tab 13
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.0
24. OPPO Find X3
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
25. OnePlus Nord CE 5G
Android 11
Snapdragon 750G
UFS 2.1
26. Xiaomi Mi 11 Lite 5G
Android 11
Snapdragon 780G
UFS 2.2
27. OnePlus Nord 2
※高パフォーマンスモードONAndroid 11
MediaTek Dimensity 1200-AI
UFS 3.1
28. OnePlus Nord 2
※高パフォーマンスモードOFFAndroid 11
MediaTek Dimensity 1200-AI
UFS 3.1
29. Xiaomi MIX 4
Android 11
Snapdragon 888 Plus
UFS 3.1
30. Xiaomi Pad 5 Pro
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
31. Xiaomi Pad 5
Android 11
Snapdragon 860
UFS 3.1
32. TECLAST T40 Plus
Android 11
Unisoc T618
eMMC
33. Meizu 18
Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
34. POCO M4 Pro 5G
Android 11
MediaTek Dimensity 810
UFS 2.2
35. TCL 10 Pro
Android 11
Snapdragon 675
UFS 2.1
36. Lenovo XiaoXin Pad Pro 2021
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
37. OnePlus 9RT 5G
Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
38. Google Pixel 6 Pro
Android 12
Google Tensor
UFS 3.1
39. vivo X70 Pro+
Android 11
Snapdragon 888 Plus
UFS 3.1
40. motorola edge X30
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
41. Lenovo XiaoXin Pad Pro 12.6 (Lenovo Tab P12 Pro)
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
42. Xiaomi 12
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
43. realme GT 2 Pro
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
44. Redmi Note 11 グローバル版
Android 11
Snapdragon 680
UFS 2.2
45. Xiaomi POCO X3 Pro
Android 11
Snapdragon 860
UFS 3.1
46. OPPO Find N
Android 11
Snapdragon 888
UFS 3.1
47. Redmi K50G
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
48. Galaxy Tab S8+
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
49. OPPO Pad
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
50. Lenovo Legion Tab Y700
Android 11
Snapdragon 870
UFS 3.1
51. OPPO Find X5 Pro
Android 12
Snapdragon 8 Gen 1
UFS 3.1
52. Redmi Note 11 Pro+ 5G
Android 11
MediaTek Dimensity 920
UFS 2.2
53. Redmi K50 Pro
Android 12
MediaTek Dimensity 9000
UFS 3.1
54. realme GT Neo3
Android 12
MediaTek Dimensity 8100
UFS 3.1
55. vivo X80
Android 12
MediaTek Dimensity 9000
UFS 3.1
56. Google Pixel 6
Android 12
Google Tensor
UFS 3.1
※基本的に端末で設定できる最高解像度・リフレッシュレートの状態で計測します。
CPU性能
CPU性能はGeekBench 5にて計測します。
シングルコア
マルチコア
ミドルレンジのSnapdragon 765Gでも少し前のハイエンドSoCに勝るとも劣らないスコアをたたき出していますし、ゲームなど重たいことをしないならミドルレンジでも十分な時代になってきました。
グラフィックス性能
主にGPUのグラフィックス性能を3DMarkのクロスプラットフォーム対応テストWild Lifeにて計測します。
Android 10以降のOSでのみ動作するため、古い端末とは比較できません。
Snapdragon 8 Gen 1が圧倒的です。Google TensorもGPUはかなり強いです。
普段使いの性能
普段使いの操作での快適さをPCMark Work 3.0で計測します。Work 3.0ベンチマークではウェブの閲覧、動画の編集、ドキュメントやデータの操作、写真の編集など、一般的なタスクをどのように処理するかを確認されています。
CPUだけでなくGPUやストレージ性能など全般的な性能を計測できます。
最低でも7000以上でないと快適な普段使いは厳しいと思います。
以下はPCMark Work 2.0時点のデータです。Work 3.0とは異なる数値が出る場合がありますが、差はあまりありません。
ストレージ・メモリ性能
ストレージとメモリの性能はCPDT Benchmarkで計測します。
かつてはeMMC (embedded MultiMediaCard) が主流でしたが、最近ではより高速なUFS (Universal Flash Storage) の採用が広まっています。UFS 1.0では最大総帯域幅が300 MB/sだったのがUFS 2.1では1200 MB/sになり、UFS 3.0では2900 MB/sになるなどかなりのスピードで進化しています。
Android Compatibility Definition Document によると、Android 12では
- シーケンシャルライト…125 MB/s以上
- シーケンシャルリード…250 MB/s以上
- ランダムライト…10 MB/s以上
- ランダムリード…40 MB/s以上
が高パフォーマンスなデバイス (Performance class 12) として認定されるようです。
CDDとCPDTでは計測方法が違うのでそのまま当てはめることはできませんが、参考にはなると思います。
シーケンシャルライト
シーケンシャルリード
ランダムライト
ランダムリード
同じ規格でも機種によってかなりバラツキがあり、UFS 3.1だから必ず良い結果になるとも限らないようです。
メモリコピー
LPDDR4・LPDDR4xが主流ですが、最近ではLPDDR5が登場しました。LPDDR4xではデータ転送速度が最大4.266Gpsなのに対して、LPDDR5では最大6.4Gbpsと1.5倍もの高速化がされています。
最大8.5Gbpsに強化されたLPDDR5Xが2022年後半以降に商用化されることで、今後さらに高性能なものが出てくると思います。
タップ・画面レイテンシー
WALT Latency Timerにて、タップレイテンシー (タッチへの反応の遅延) と画面描画のレイテンシーを計測しました。
30回ほどタップした結果を使い、画面中央で明るさ最大にして画面描画の遅延を計測しています。
ACTION_DOWN時のタッチからカーネル、カーネルからJavaの間の遅延と画面描画の遅延の合計値が「タッチして画面表示が変化するまでにかかる遅延」で、少ない方が良いです。
どうやらMediaTek SoC搭載端末は画面描画で遅延が発生しやすいようです。
スピーカーのレイテンシー
音ゲーをする際などに関わってくる、音の遅延も計測してみました。
計測はSuperpowered Mobile Audio Latency Test Appを使用します。静かな場所で音量を最大に設定し、スピーカー再生でテストしています。
一般的に使用されているOpenSL ESでは遅延が大きめで、Androidの仕様上どうしても改善がしにくい状況です。
ちなみに最近のスマホ・タブレットによく搭載されているDolby Atmosは処理が増える都合上さらに遅延が大きくなってしまいます。
新しいAPIであるAAudioでは遅延が抑えられており30ms台になっていますが、10ms以下にするのはやはり難しいようです。
AAudioはAndroid 8.0以降向けに設計されたアプリでしか使用できないため、一般的なゲームで使えるようになるにはまだまだ時間が掛かりそうです。
有線イヤホン等であれば10msほどにできるので、音ゲーをする際はイヤホン・DACを接続したほうが良いでしょう。
まとめ
同じ規格を採用していても新しいモデルほど改良・最適化が進み、パフォーマンスが高まる傾向にあります。
分類上はミドルレンジでも数年前のハイエンドモデルを超える性能を持っていることもありますし、安価に高性能なスマホが手に入る時代になって良いですね。