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評価: 4
vivo iQOO Padを購入しました。
iQOO初のタブレット
iQOO PadはMediaTek Dimensity 9000+を搭載したハイエンドAndroidタブレットです。
vivoのiQOOブランドとしては初となるタブレットで、vivo Pad 2とほぼ同じです。ファームウェアも内部的にはほぼvivo Pad 2と共通です。
このレビューは8GB+128GB版・DPD2307_A_13.0.12.25.W10.V000L1で行っています。
- 7:5でサイズの割に表示領域が大きい
- 120Hzリフレッシュレート対応
- 6つのスピーカー搭載
- 10,000mAhバッテリー
- USB 3.2 Gen 1ポート搭載
- 安定した性能が出にくい
- 144Hzはほぼ使用不可
- アプリが強制終了されやすい
- 現時点では映像出力がおかしい
- 指紋認証センサー非搭載
- GPS非搭載
iQOO Pad (iPA2375) | |
---|---|
OS | Android 13 |
RAM | 8GB / 12GB LPDDR5 |
ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB UFS 3.1 |
SoC | Mediatek Dimensity 9000+ (MT8798Z/TNZA) |
ディスプレイ | 12.1インチ FHD+ 2800 x 1968 アスペクト比 7:5 (4:2.81) 120Hz (144Hz) リフレッシュレート LCD |
サイズ | 266.03 × 191.60 × 6.59mm |
重さ | 585g (実測588.3g) |
SIM | — |
リアカメラ | 13MP (Hynix hi1336) + 2MP (マクロ OmniVision OV02B10) |
フロントカメラ | 8MP (Hynix hi846) |
バッテリー | 10,000mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen1) |
目次
説明書、充電ケーブル、充電器が付属しています。
充電器はUSB Type-Aポート搭載で、44W急速充電対応です。
保護フィルムは貼り付けられていません。
ディスプレイ:マンガなどが見やすいアスペクト比7:5
iQOO Padは12.1インチ2800 x 1968解像度のディスプレイを搭載しています。
アスペクト比が7:5、つまり4:2.81で4:3に近いため、16:9や16:10の同インチ数・同じぐらいの大きさのタブレットと比べて表示領域が大きいことになります。
ウェブサイトなどでは一画面で表示できる情報量が増え、マンガアプリは見開き表示でほぼ余白がなく見やすいです。
動画では上下に黒帯が出ます。
明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大478nitsに達しました。
普通の画像表示時は最大403nitsでした。
屋外用途には不向きですが、屋内なら十分です。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nits程度、屋外では800~1000nits程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
リフレッシュレートは144Hz対応です…が実際に使える場面はほぼなく、普段は120Hzが上限となります。
Call of Duty Mobileではウルトラも選べるものの90FPSまでしか出せません。
144Hzはごく一部の中国版ゲームでしか使えないため、事実上意味がありません。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は16.9ms、画面描画遅延は33.7msで合計50.6msでした。
ゲーミングタブレットとしては遅延が大きめです。
やはりMediaTek製だと画面描画の遅延がネックになるようです。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。
顔認証のみに対応しており、指紋認証センサーは搭載していません。
背面:メタリックで指紋が付きにくい
背面は指紋が付きにくく、さらさらとしています。
重さ588.3gです。
カメラ:メモ程度ならOK
13MP (Hynix hi1336) + 2MP (マクロ OmniVision OV02B10) というデュアルカメラ構成です。
vivoらしい円形の配置です。
タブレットのカメラとしては十分な画質で、メモ用途なら問題ないでしょう。
約5cmほど近くまで寄って撮影できます。
ポートレートではボケや肌の色の調整はもちろん、横顔・正面側であごなどの形を整えるフィルターまで用意されています。
スピーカー:6つ搭載で高音が強め
iQOO Padは合計6つのスピーカーを搭載しています。
ボーカルや高音のほうが大きく聞こえ、音量を半分以上に上げていくと低音もしっかりと鳴らしてくれるのですが、背面が振動してしまいます。
音量が小さめだと低音がスカスカした感じになってしまうので、多少の振動は我慢しないといけなさそうです。
アップスケーリングしてくれる「オーディオスーパー解像度」やシーンに合わせて調整する「スーパーオーディオ」などがあります。
Dolby Atmos対応ではありません。
Hi-Fi DACは非搭載です。
vivoのスマホにはよく搭載されているのですが、せっかくのタブレットで搭載しないというのは残念です。
WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると69.8msでした。
かなり大きめの遅延です。
BluetoothではLDAC / aptX / aptX HD / aptX / AACコーデックに対応しています。
ポート:USB 3.2 Gen 1対応
iQOO PadのUSB Type-Cポートは44W急速充電に対応し、USB 3.2 Gen 1のおかげで高速なデータ転送が可能です。
DisplayPort Alt ModeでUSB Type-Cケーブル接続したモニターに映像出力もできるものの、アスペクト比と解像度がおかしいので使い物になりません。
スタイラスペン装着用の溝があります。
性能:ピーク性能は良いが安定せず
iQOO PadはMediaTek Dimensity 9000+を搭載しており、Androidタブレットとしては上位クラスの高い性能を持っています。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1626・マルチコア3641、通常版でシングルコア1775・マルチコア4499でした。
特にマルチコアで大きな差が出ているため、パッケージ名判定での性能制御を行っているようです。
Dimensity 9000+はDimensity 9000から最大クロックが上がっているにもかかわらず、9000との差はほとんどありません。ベンチマークブーストで良く見せかけるのが精一杯なのでしょう。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
2023年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
Geekbench MLでは計測途中でフリーズして強制終了してしまいました。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア2540→1810で、温度上昇は29℃→33℃ (4℃上昇)でバッテリー消費は5%でした。
Snapdragon 8+ Gen 1のXiaomi Pad 6 Proと比べると発熱で性能が低下しやすく、高い性能を安定的には出してくれません。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度とバッテリー消費が少ないものが理想です。
2023年現在はスコア約2000以上を安定して出せる端末だとグラフィック処理が重たいゲームも快適にプレイできる傾向にあります。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア11446でした。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
2023年現在は8000以上あれば十分です。
UFS 3.1ストレージ、LPDDR5メモリを搭載しています。
遅いと言うほどではないですが、UFS 3.1にしてはあまり速くありません。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
原神を最高画質・60FPS設定・スメールでプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均49FPSで1FPSあたり150.39mWの消費電力でした。
バッテリー温度は最大34.2℃程度まで上昇しました。カメラのあるあたりが暖かくなります。
5分を過ぎたあたりから発熱でどんどんと性能低下が起こりフレームレートが落ちています。ジャンクも結構あるため、あまりスムーズなプレイとはいえません。
また、15分43秒の時点でPerfDogが強制終了されてしまいました。設定でバッテリー消費を許可したりオーバーレイ表示したりしているというのに勝手にタスクキルするとは…。
Dimensity 9000搭載のLenovo Legion Y900 (Lenovo Tab Extreme) では平均57.7FPSでプレイできますし、Snapdragon 8+ Gen 1のXiaomi Pad 6 Proなら平均59.1FPSかつ低消費電力でプレイできるため、ゲーム用タブレットとしては他社に負けてしまっています。
1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。
電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。
ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。
平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。
(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)
OS:日本語化も可能
iQOO Padは中国版のため英語と中国語しか選べません。
ただし、ADBコマンドを使うことで日本語化は可能です。
設定でSystem management→About tablet→Version infoを開いてSoftware versionを7回連打すればSystem managementのところにDeveloper optionsが出るので、USB debuggingを有効化してください。
adb shell
settings put system system_locales ja-JP
コマンドを実行したあと再起動すると日本語になります。
キャンセルやUSB接続時のモード選択などが英語のままなぐらいで、設定などもほぼすべてちゃんとした日本語訳になっています。
なお、大昔に使われていたMoreLocale 2を使うやり方では再起動毎に言語が英語に戻る不具合が起きることがある上に、ADBコマンドを使う方法よりもセットアップ手順が多いのでおすすめしません。
フォントについては「フォントスタイル」で経典字体に変えると日本語フォントになります。
APKMirrorなどでPlayストアのAPKをダウンロードしてインストールすればPlayストアを使えます。Playプロテクト認定済みのため銀行アプリ等も使えます。
ニアバイシェアやロケーション履歴などは利用できません。
ダブルタップで画面オンオフのジェスチャー操作を使えます。
画面を見ている間は自動消灯させないようにする「スマート画面ON」もあります。
残念ながらGPSは非対応で、Wi-Fiスキャンでしか位置情報取得ができません。
まとめ
- 7:5でサイズの割に表示領域が大きい
- 120Hzリフレッシュレート対応
- 6つのスピーカー搭載
- 10,000mAhバッテリー
- USB 3.2 Gen 1ポート搭載
- 安定した性能が出にくい
- 144Hzはほぼ使用不可
- アプリが強制終了されやすい
- 現時点では映像出力がおかしい
- 指紋認証センサー非搭載
- GPS非搭載
iQOO PadはAndroidタブレットとしては上位クラスの高い性能を持っており、120Hzリフレッシュレートやアスペクト比7:5のディスプレイでウェブサイトやマンガなどが見やすいです。
一方ゲームにおいてはSnapdragon 8+ Gen 1のXiaomi Pad 6 Proと比較すると物足りなさを感じます。
Xiaomiと違ってADBコマンド一つでほぼ完全な日本語化ができるため、root化したくない人には良いと思います。
iQOO Padは中国では2399CNY~で購入できます。